けいたさん、モニターで心拍数が40台の患者さんを見ていて、 「遅いな」とは思ったんですが、 どこまで心配すべきなのか分からなくて…。
新人看護師
りさ
その感覚、すごく大事です。 実際の現場でも、 「遅いけど落ち着いてるから様子見かな?」って 迷う場面はよくあります。
心電図講師
けいた
そもそも、心拍数が遅いと 体にはどんな影響が出るんでしょうか。
一番シンプルに言うと、 血液を送り出す量が減る、ということですね。 心臓はポンプなので、回数が減れば どうしても全身への血流は落ちます。
やっぱり、脳が一番影響を受ける気がします
お、すごい!その通りで、脳は酸素不足に弱いので、 血流が落ちると、めまいやふらつき、 ひどいと失神として現れます。
同じ「徐脈」でも、 危ないものと、そうでないものがあるんですね。
まさにそこがポイントです。 なので次は、 「なぜその徐脈が起きているのか」を確認する必要があります。
それを判断するのが、心電図ですね!
はい。 では次に、この心電図を見てください。ここに、原因を考えるヒントがあります。
では、この心電図を見てください。 どうでしょうか?
一見すると心拍が遅いだけに見えますが、 P波が出るはずのところで、何も出ていない時間があります。
ここが重要です。 心拍は洞結節からの電気で始まりますが、 この波形では、その合図が一時的に出ていません。 そのため、P波もQRSもまとめて消え、 心電図上では「間」として見えます。
これはリズムが遅いのではなく、 拍動そのものが始まっていない状態です。 結果として心拍数は下がり、 血液を送れない時間が生まれます。
このように、 本来あるはずの波形が突然抜ける状態を 洞停止と呼びます。
出ていないところを見る、ということですね。
そうですね。洞停止は「異常な波」ではなく、 「消えた波」に気づけるかどうかがポイントです。
では、洞停止の心電図をどう見ていくか、 ポイントを2つに絞って整理します。
まず1つ目。
P波がQRS波と一緒に脱落することです。 洞結節から電気が出ていないので、 心房も心室も動き出せません。 その結果、P波だけでなくQRS波も出ず、 心電図上では波形が丸ごと抜け落ちます。
次に2つ目。
P-P間隔の停止時間が一定ではないことです。 もし単にリズムが遅いだけであれば、 P-P間隔は規則正しく並びます。 しかし洞停止では、 「どれくらい止まるか」がその都度違い、 前後のリズムともきれいにつながりません。
だから、急にポンと間が空く感じに見えるんですね。
その通りです。 洞停止は、 リズムが乱れている不整脈ではなく、 リズムが突然消える不整脈。 P波とQRS波が一緒に落ちているか、 そしてその間隔が不定か、 この2点をまず確認してください。
この洞停止と呼ばれる心電図波形、 実はSSS(洞不全症候群)と呼ばれる状態の一つです。
SSSは、日本語では洞不全症候群英語では Sick Sinus Syndrome(シック・サイナス・シンドローム)と呼ばれています。名前の通り、 心拍のスタート役である洞結節が元気に働けていない状態をまとめた呼び方です。
「洞停止」だけがSSSなんですか?
いい質問です!
今回の洞停止は、 SSSの中でも比較的シンプルなタイプで、 洞結節のお休みがはっきり見えている例です。ただしSSSは一つの波形を指す名前ではありません。 洞結節が不安定になることで、 いくつか違った心電図として現れるのが特徴です。
だから、SSSにはいろいろな心電図があるんですね。
その通りです。 この心電図は、 Sick Sinus Syndromeを理解するための入り口として、 とても分かりやすい例だと思ってください。
では最後に、 ここまで見てきたことを一度つなげてみましょう。
今回の心電図で起きていたことは、 決して難しい話ではありません!
1️⃣ 洞結節がうまく電気を出せない 2️⃣ その結果、心拍数が遅くなる 3️⃣ 血液を送り出せない時間が生まれる 4️⃣ 脳が酸欠になる 5️⃣ めまい・失神・意識消失として症状が出る
流れで見ると、すごく納得できます!
そうなんです。 心電図は「波形を当てるもの」ではなく、 体の中で起きていることを想像するための道具です!
今回のように、 「なぜこの間が空いているのか」 「その結果、体に何が起きるのか」 そこまで考えられると、 心電図の見え方が一段変わってきます。
今日はまず、 その第一歩を掴んでもらえたら十分です!!
本日もありがとうございました!
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