けいたさん、そもそもなんですけど…心電図って何のためにやるんですか?
新人看護師
りさ
いい質問ですね! 心電図っていうのは、「心臓の電気の流れ=リズム」をリアルタイムで見てる検査なんです。
心電図講師
けいた
リアルタイム…モニターみたいな感じですか?
そうそう。
たとえば患者さんが息苦しそうだったり、急に意識がなくなったりしたときって、「心臓がちゃんと動けてるか」が超重要ですよね?
心電図があれば、その“今の心臓の状態”をすぐに確認できます。
なるほど…だから急変時とかによくつけるんですね。
そうです。そうです。
心電図は“命に関わるサイン”に早く気づくための【心臓モニター】なんですよ。
じゃあ、その波って何を見てるんですか?
なんかピコピコしてるやつ。
あれ、全部「電気の流れ」を波で表してるんです。
✅ P波 → 心房が動いた電気
✅ QRS波 → 心室が動いた電気(血液を押し出すメインの力)
✅ T波 → 心室が休んでるときの電気
P波は、心房が活動しはじめたときの電気の波を表しています。
通常、心臓の電気は「洞結節(どうけっせつ)」という場所から始まり、心房に広がっていきます。このときに発生する電気が、心電図上でP波として記録されるんですね。
つまり、P波がきちんと出ているということは、心臓のスタートが正常に行われているサインになります。
なるほど、P波がちゃんとあるかで、心臓の最初の動きが分かるんですね!
次にQRS波ですね。これは、心室が収縮して血液を全身に送り出すときの電気の動きを示しています。
心房で発生した電気が房室結節を通り、ヒス束、脚、プルキンエ線維と伝わって心室に届きます。これがスムーズに行われれば、QRS波は「細くて正常な形」になります。
一方で、電気の伝わり方が遅かったり、異常な場所から出たりすると、QRS波は広がったり、形が変わってしまうんです。
QRS波がいつもと違っていたら、心室や伝導の異常が疑われるってことですね!
そして最後にT波ですが、これは心室が収縮のあとに「休んでいる」=回復しているときの電気を表します。
心室も使ったあとにはリセットが必要ですから、その回復の様子がT波に表れるわけです。
T波が高すぎたり、逆になっていたりする場合は、虚血や電解質異常、薬剤の影響などを考える必要があります。
えっ!「休んでる時の波」もあるんですか!?
そうなんです。心臓って、ちゃんと休まないと次に動けませんからね。
あと、波が出る「順番」と「間隔」がポイントなんです。たとえばP波のあとにQRSがちゃんと来てるかとか、間隔が一定かどうかを見ることで、電気が正常に流れてるかがわかるんですよ。
心電図は「電気の流れ方の地図」。つまり心臓の動きの地図なんです。
でも、どんなときに「これやばいかも」って思えばいいんでしょうか?
代表的なのはこんなときです👇
✅ 脈がすごく速い/遅い
→ 意識が飛ぶ・血圧が下がるリスク
✅ リズムがバラバラ
→ 心房細動や命に関わる不整脈の可能性
✅ STが上がってる/下がってる
→ 心筋梗塞など心臓の血流不足
✅ P波とQRSの関係がズレてる
→ 電気の伝わりの異常(房室ブロック)
もう少し詳しく説明していきましょう!
まず最初に見てほしいのが、脈の速さや遅さです。脈が速すぎる、たとえば150回/分以上になると、心臓は血液を送り出す前にどんどん拍動してしまって、十分に血液を送り出せなくなることがあります。
逆に、脈が遅すぎる、たとえば30回/分くらいになると、全身に回る血液量が減ってしまって、脳に酸素が届かず、意識が飛ぶ(失神)リスクも出てきます。
次に、「リズムのバラつき」も重要なサインです。たとえば心房細動(AF)では、心房が小刻みに震えている状態で、心臓のリズムが不規則になります。
見た目の脈もバラバラで、脳梗塞のリスクや、血栓ができるリスクも高くなるんです。
続いて、「STが上がる/下がる」という心電図の変化です。これは、**心臓の血流が足りていない=虚血(きょけつ)**が起こっているサインなんです。
特にSTが急に上がる場合は、心筋梗塞の可能性があり、一刻を争う状況になることもあります。
逆に、STがゆるやかに下がっている場合は、慢性的な血流不足や負担がかかっているサインかもしれません。
最後は、「P波とQRSの関係がズレている」場合です。これは、電気の流れがうまく伝わっていない=伝導障害が起こっている可能性があります。
たとえば、P波はあるのにQRSが出てこない場合は、房室ブロックの可能性が考えられます。特に2度や3度のブロックになると、心室が全く動かなくなる瞬間もあって、これも失神や命の危険につながることがあります。
P波とQRSの“間”を見るだけでも、そんなに大切なことが分かるんですね…。
そうなんです。「いつも通りじゃない」と感じたときには、どこがズレているのか・何が起こっているのかを考えるクセをつけていくと、心電図が一気に読みやすくなりますよ。
では、ここまでの内容を一緒にまとめてみましょうか。
✅ 心電図は、「今この瞬間の心臓の電気の動き」をリアルタイムで見られる検査です。→ いわば、心臓のモニター。命に関わる変化に、いち早く気づくために使われています。
✅ 心電図で見えている“波”の意味は次の通りです。
P波: 心房が動いたときの電気(心房の収縮)
QRS波: 心室が動いたときの電気(全身に血液を押し出すメインの力)
T波: 心室が休んでいるときの電気(心室の回復)
✅ どんなときに「異常」と判断されるかも整理しておきましょう。
脈がすごく速い/遅い → 意識が飛んだり、血圧が下がるリスク
リズムがバラバラ → 心房細動や、命に関わる不整脈の可能性
STが上がってる/下がってる → 心筋梗塞など、心臓の血流不足のサイン
P波とQRSの関係がズレてる → 房室ブロックなど、電気の伝わりの異常
心電図って、ただ波を見てるだけじゃなくて、患者さんの体の中で何が起きてるかを読み取ってるんですね…。
まさにその通りです。心電図を読む力があると、「急変に早く気づける」「無駄な不安を防げる」「自信を持って報告できる」っていう風に、**看護の質にも直結してくるんですよ。
なんだか、心電図がちょっと身近に感じられてきました…!
これからモニターを見るとき、ちゃんと“意味”を考えながら見てみます!
それで十分です!
いきなり全部読めるようにならなくても、「なんとなく分かる」「これはいつもと違う」って気づけることが何より大切ですから。
その一歩を、これからも一緒に積み重ねていきましょう!
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