
正常なサイナスは
『洞結節で発生した電気的刺激が、正しく心室まで伝わって一定のリズムで繰り返されている状態』
です!

その通りです!
今回はこのフレーズが大事ですので、しっかり頭の中でイメージしながら進めていきましょう!
先ほどあげた、心電図において正常なサイナスと言えるの4つの項目について詳しく見ていきましょう!!
•Ⅱ誘導でP波が上向きか
•P波の次にQRS波が続いているか
•PQ時間が一定かどうか
•心拍数は60-100bpmかどうか
•Ⅱ誘導でP波が上向きか
初めにⅡ誘導で確認する理由についてお話しします。
Ⅱ誘導は右上から左下への興奮の伝導を心電図波形で上向きに描出します。
洞結節は心房の右上にあり、信号は右上から発信され、全体として心房の興奮は右上から左下に向かいます
心電図では下の図の様に矢印の向きが合っていると、その分電気的刺激を波形に反映することが出来ます。
参考:医学会新聞
病棟でよく使われているモニター心電図も基本的にⅡ誘導が表示されてますよね?
上記の様に1番心臓の電気的流れを反映しているからです。
では、Ⅱ誘導でP波が上向きではない場合は何が考えられるのか?
それは『洞結節から刺激が発生していない!』ということです。
例えば、下の波形の様な感じです。
P波が下を向いていると言うことは、矢印の向きがⅡ誘導の向きとは逆に向かっているということです。
P波は心房の興奮を示しています。
つまり、洞結節から発生しているのではなく心房の下側の方から刺激が発生しているということです。
先ほどのフレーズを思い出して見てください。
『洞結節で発生した電気的刺激が、正しく心室まで伝わって一定のリズムで繰り返されている状態』
洞結節で発生した電気的刺激が
この部分が当てはまりません。
洞結節から刺激が発生してない場合はサイナスとは言えないということです。
•P波の次にQRS波が続いているか
P波の後にQRS波が続いているのかを見ていきます!
この様にしっかりP波の後にQRS波があります。
例えばこんな波形はどうでしょうか?
参考:ECGcafe
これはP波の後にQRS波形が脱落していますね!
これは、AVブロックという心電図波形です。
これはどの様な状態が心臓で起きているのかと言うと、房室接合部で電気的刺激がたまに途絶えてしまっている状態です。
参考:コウメイ塾
先ほどのフレーズをみてみると
『洞結節で発生した電気的刺激が、正しく心室まで伝わって一定のリズムで繰り返されている状態』
電気的刺激が正しく心室まで伝わって
↑
この部分に当てはまってないです。
心室にうまく伝わらない時があるというのことは、正常のサイナスとは言えないわけです。
•PQ時間が一定かどうか
これが正常なサイナスと言える波形です!
PQ時間が0.12-0.2秒の間に入ってますね。
もしこれがこんな感じで、0.2秒以上延長している場合は1度房室ブロックです!
参考:ナース専科
短縮している場合もWPW症候群が疑われます。
『電気的刺激が正しく心室まで伝わって』
この部分が当てはまらないというわけですので、正常なサイナスとは言えないという事です!

んー。てゆか、0.12-0.2秒ってなんですか?
覚えられないしどうやって確認するの?

そうですね!いきなり過ぎました。
詳しく説明していきます。
心電図波形ってマス目がありますよね?
心電図の世界ではこの1番小さいマス目が右に1マス進むと、時間が0.04秒進んだよっていうのを示しています。
0.04秒ってどんな世界だし!
うん。僕も思います。
いやほんとすごい世界ですよね。
つまり25マス右に進むと1秒間進んだよってことです!
参考:メディックメディア
やっと人間界っぽい数値になります。笑

理解は出来たけどこんな数値覚えられないよ!!
心電図の正常値なんて、覚えなくて良いって言ったじゃん!

あーはい。そうでした。
確かに前々回くらいの投稿で、心電図の正常値を覚えるのは後でいいという話をしました。
でも、心電図を読めるようになるために少しずつでいいので数値を覚える必要があります。
今回は『5マス』数える!
これだけ覚えましょう!
1マス0.04秒なので5マスで0.2秒です。
つまり5マス以上あると0.2秒を超えているというわけです!!
では上の画像のマスを数えてみて下さい。
そうですね!5マス以上あるので『1度房室ブロック』です!
心電図波形を見たらPQ時間が5マス以内かどうかを毎回チェックして下さい!

毎回?

そうです!3秒でチェックできます!
PQ時間が5マス以内か?つまり0.2秒以内かどうか毎回チェックする事で、サイナスかどうか、房室ブロックが起きていないかどうか確認する事ができます!
P波がある心電図を見たらPQは5マス以内か数える!これだけ覚えおいて下さい!
ちなみに心電図は小さい5マスで大きなマス1つになります。
大きなマス1つ分という覚え方でもいいまもしれませんね!

それだけならいけそうです!

じゃあ最後いってみましょう!
•心拍数は60-100bpmかどうか
最後はこちらについて説明していきます。
実はと『正常な』サイナスとずって言っていますが、この『正常な』と呼んでいるのは理由があって『異常な』サイナスもある訳です。
例えば心拍数が50bpmだったとします。
この心電図も見て下さい。
心拍数は45bpmくらいでしょうか。
これっていかにもサイナスに見えます。
確かにサイナスですが『正常な』サイナスではなく、徐脈なサイナスです。
正式名称は洞性徐脈(sinus bradycardia)で、サイナスブラディってやつですね!
逆に心拍数が100bpm以上の場合も同じです。
この心電図は洞性頻脈(sinus tachycardia:サイナス タキカルディア)です。
何故『サイナス』が付くのかというと、洞結節で発生した電気的刺激が、房室結節を通り心室まで伝わっているからです。
頻脈でもP波がなかったり、見えなかったりする場合はサイナスではないです。
徐脈も同じでPQRSTが順番で見えてない場合はサイナスではないです!

最後はちょっとわかりにくかったかな?

大体理解できました!
大事なのはこの4つを覚えておくことです!
•Ⅱ誘導でP波が上向きか
•P波の次にQRS波が続いているか
•PQ時間が一定かどうか
•心拍数は60-100bpmかどうか

ては、次回も頑張りましょう!