臨床検査技師国家試験の第67回を解説します【午前(AM) 問96~問100】
カリスマ検査技師K

こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。

午前(AM) 問96

電圧利得 20 倍の増幅器 A1と 200 倍の A2を直列に接続したときの増幅度として
最も近い値[dB]はどれか。
1. 30
2. 46
3. 60
4. 66
5. 72

答えはコチラ
5. 72

 

 

解説

増幅器を多段直列に接続すると
・全体の増幅度はそれぞれの増幅器の増幅度をかけたもので、
・利得[dB]はそれぞれの増幅器の利得[dB]の和で
求められます。

電圧利得とは

増幅度を常用対数で表し20倍したもの。

ここでは全体の増幅度は
A1×A2
=20×200
=4,000
となります。

全体の利得は
増幅度の常用対数×20
=log104000×20
=20log104×103
=20log1022+20log10103
=40log102+60
=40(log22/log210) +60
=40×(1/log210)+60…①
ここで
log28<log210<log216
であるから
3<log210<4となりますね。
したがって①の式にlog210≒3. …を代入して
40×1/3+60≒72[dB]となります。

午前(AM) 問97

測定対象の物理量変化に対応した起電力を利用したセンサはどれか。2つ選べ。
1.圧電素子
2.CdS セル
3.サーミスタ
4.ホール素子
5.ストレインゲージ

答えはコチラ
1.圧電素子 4.ホール素子

 

 

解説

1.圧電素子
圧電素子は圧力の変化(振動)を起電力の変化として出力します(ピエゾ効果)。

2.CdS セル
CdSとは硫化カドミウムのことで、CdSセルとして用いられ、光量変化を抵抗力の変化として出力します。

3.サーミスタ
サーミスタとは温度変化を電気抵抗の変化として出力します。

4.ホール素子
ホール素子とは半導体のホール効果を用いて、磁場の変化を起電力の変化として出力します。

5.ストレインゲージ
ストレインゲージとはひずみゲージとも呼ばれ、物体の曲げやねじれなどの変位を電気抵抗の変化として出力します。

 

代表的なトランスデューサ

午前(AM) 問98

病院電気設備の安全基準(JIS T 1022)において非接地配線方式を設けなければな
らない医用室はどれか。
1.集中治療室
2.検体検査室
3.病理検査室
4.生理検査室
5.一般病室

答えはコチラ
1.集中治療室

 

 

解説

病院では、電源の遮断による機能の停止が医療に重大な支障をきたすおそれがある医用電気機器を使用する医用室のコンセント用分岐回路には、電路の一線地絡時にも電力の供給を継続するため、非接地配線方式が適用されています。
非接地配線方式は、手術室集中治療室(ICU)等で使用されています。

午前(AM) 問99

コンピュータデータベースの操作言語はどれか。
1.SQL
2.HTML
3.SMTP
4.UNIX
5.TELNET

答えはコチラ
1.SQL

 

 

解説

1.SQL
データの操作などを行なうためのデータベース言語です。

2.HTML
WEBサイトの構造を決めるために用いる言語です。

3.SMTP
メールの送信で用いるプロトコルです。

4.UNIX
OS(オペレーティングシステム)の一種です。

5.TELNET
遠隔操作の際に用いるプロトコルの一種です。

午前(AM) 問100

光学顕微鏡の説明で誤っているのはどれか。
1.コンデンサレンズは絞りを通過した光を集光するためにある。
2.実体顕微鏡では観察対象が動くと同じ方向に像が動いて見える。
3.双眼実体顕微鏡で両眼観察すると、観察対象が立体的に見える。
4.高倍率対物レンズの方が低倍率対物レンズに比べ焦点距離が長い。
5.対物レンズの倍率は標本に対する中間像(倒立の実像)の倍率である。

答えはコチラ
4.高倍率対物レンズの方が低倍率対物レンズに比べ焦点距離が長い。

 

 

解説

1.コンデンサレンズは絞りを通過した光を集光するためにある。
コンデンサレンズとは、光源からの光を集光させるためのレンズのことを言い、集光レンズとも呼ばれます。露光装置などに用いられます。

2.実体顕微鏡では観察対象が動くと同じ方向に像が動いて見える。
普通の光学顕微鏡では観察対象が動くと左右上下逆に動いてみえますね。
それに対し実体顕微鏡は両目に超高性能な虫眼鏡を付けたような構造になっており、観察対象は同じ方向に動いてみえます。

3.双眼実体顕微鏡で両眼観察すると、観察対象が立体的に見える。
普通の光学顕微鏡では1つの視界を2つに分けて観察しているため、平面的に観察されます。
一方、双眼実体顕微鏡では、左右の眼が別々の視界を持つため、肉眼で見ているのと同じく、観察対象を立体的にみることができます。

4.高倍率対物レンズの方が低倍率対物レンズに比べ焦点距離が長い。→短い
焦点距離とは焦点と主点との距離のことです。
倍率の高いレンズで観察するとピントがすぐズレてしまいますよね。
これは焦点距離が短いことで起こっています。

5.対物レンズの倍率は標本に対する中間像(倒立の実像)の倍率である。