臨床検査技師国家試験の第67回を解説します【午前(AM) 問6~問10】
カリスマ検査技師K

こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。

午前(AM) 問6

成人男性がアフリカから帰国後に発熱した。末梢血塗抹のGiemsa染色標本を以下に示す。
この感染症について正しいのはどれか。
1. 自然治癒する。
2. 治療薬はない。
3. ツェツェバエが媒介する。
4. 感染初期に肝臓で増殖する。
5. 細胞内寄生細菌感染症である。

答えはコチラ
4. 感染初期に肝臓で増殖する。

 

 

解説

説問文、写真からまずこの男性は何に感染したのかを考えましょう。

「アフリカから帰国後」  日本では少なく、輸入感染であることを示唆します。
「発熱した」  感染により発熱を起こします。
写真から赤血球内に赤紫色に染まるリング状の物質が見えます。

これらの事を総合して、熱帯熱マラリア原虫に感染したということがわかります。
マラリア原虫はハマダラカによって媒介され、ヒトに感染します。
ハマダラカが生息する熱帯・亜熱帯地域(特にサハラ以南アフリカ)で多発しています。
間欠的な発熱、貧血、脾腫が見られるのが特徴です。
また、末梢血塗抹標本では赤血球内にマラリア原虫が見られ、その種類によって特徴が異なります。
この問題の写真では、リング状の輪状体が見られるため、熱帯マラリア原虫と推測できます。

1.自然治癒しない
マラリアの治療には抗マラリア薬であるキニーネがよく用いられます。

2. 治療薬はある
上記で示したキニーネの他に、アトバコン・プログアニル、アルテメテル、ルファントリン、メフロキンなどがあります。

3. ハマダラカが媒介する。
マラリア原虫はハマダラカ(終宿主)体内で有性生殖を行い、ヒト(中間宿主)体内で無性生殖を行います。
ツェツェバエはアフリカトリパノソーマの媒介昆虫です。

4. 感染初期に肝臓で増殖する。
ハマダラカによってマラリアのスポロゾイトがヒトの体内に貼ると、血管を通じて肝臓に到達します。
スポロゾイトは肝細胞内で増殖してメロゾイトとなり、血管外に放出されます。これを赤血球外発育と言います。
その後血管外に出たメロゾイトは赤血球内に入り、栄養体(トロフォゾイト)となります。
これが写真のような輪状体として観察されるのですね。
この発育を赤血球内発育と言います。

「Eisai Access to Medicines 」より引用
https://atm.eisai.co.jp/ntd/malaria.html

5.細胞内寄生原虫感染症である。
マラリアは原虫であり、細菌ではありません。

午前(AM) 問7

採血中に患者の顔面が蒼白になり、気分不快を訴えた。この採血合併症について誤っているのはどれか。
1.徐脈になる。
2.高齢者に多い。
3.血圧が低下する。
4.緊張が誘因となる。
5.直ちに採血を中止する。
答えはコチラ
2.高齢者に多い。

 

 

解説

採血合併症には様々なものがありますが、特に国試で問われることが多いのが、『血管迷走神経反射』です。
血管迷走神経反射と恐怖心や緊張感などの誘因により迷走神経が亢進し、血管拡張、心拍低下を起こす現象です。

発生機序
血管迷走神経反射→徐脈→血圧が下がる→頭に血がいかなくなる→あくびが出る→気分不快・顔面蒼白になる→意識障害になる

 誘因
針刺し時の痛みや血管の痛みにより生じやすくなります。
また、針刺しに対する恐怖心や緊張感が強い時や、採血速度・睡眠不足・空腹などに影響されることもあります。

対処法
症状が見られたら採血を中断し、足を挙上した姿勢で頭を低くして寝かせます。
血圧、脈拍、呼吸数などをチェックし、必要に応じて医師に対応してもらいます。

1.徐脈になる。
血管迷走神経が亢進して徐脈となります。

2.高齢者とは関係ない
特に高齢者に多いというわけではありません。

3.血圧が低下する。
徐脈となることによって血圧が低下します。

4.緊張が誘因となる。
緊張や恐怖心によって誘因されることがあります。

5.直ちに採血を中止する。
症状が見られたら採血を中断し、足を挙上した姿勢で頭を低くします。

午前(AM) 問8

空気感染予防策を必要とするのはどれか。2つ選べ。
1.結核
2.水痘
3.風疹
4.百日咳
5.流行性耳下腺炎
答えはコチラ
1.結核 2.水痘

 

 

解説

空気感染とは、空気中に漂う微細な粒子(5μm以下の飛沫核)により感染することです。
空気感染する病原体は3つです。ゴロで覚えてしまいましょう!

「空にもマケズ」

空・・・空気感染
マ・・・麻疹
ケ・・・結核
ズ・・・水痘、帯状疱疹

1 2 以外の選択肢は飛沫感染によって伝播します。

午前(AM) 問9

ピンク色泡沫状で漿液性の喀痰が得られた。考えられる疾患はどれか。
1.肺癌
2.肺梗塞
3.肺水腫
4.気管支炎
5.気管支拡張症
答えはコチラ
3.肺水腫

 

 

解説

1.肺癌
肺血管の破綻による気道への出血により、茶色や暗赤色を呈する血痰が見られます。

2.肺梗塞
肺梗塞とは塞栓子(血栓、脂肪、空気、腫瘍など)によって肺動脈が完全に閉塞し、末梢の肺組織が出血壊死に陥ることです。
茶色や暗赤色を呈する血痰が見られます。

3.肺水腫
肺水腫とは肺毛細血管から水分が血管外に漏出し、異常に貯留している状態を指します。
水分だけでなく、赤血球などの血球成分も肺毛細血管から漏出します。
このため、肺胞腔ないに漏出した水分を喀出した時にピンク色の泡沫状痰が見られます。
肺水腫の原因は様々なものがありますが、左心不全が原因となる心原性肺水腫が最も多いです。

4.気管支炎
気管支炎はウイルスや細菌などの微生物の感染、喫煙や大気汚染物質の吸引、アレルギーなどによって起こる気管支粘膜の炎症のことです。
その原因によって喀痰の性状が異なります。
細菌性の場合、膿性で白黄色〜淡黄色
緑膿菌の場合、膿性で緑色
肺炎球菌の場合、膿性でさび色
ウイルスなど非細菌性の場合、粘液性で透明〜白色

5. 気管支拡張症
気管支拡張症とは何らかの原因によって、亜区域気管支より末梢の気道が感染や炎症を繰り返し、不可逆的な拡張をきたした病態です。
気管支の拡張に伴い、気管支動脈も増生しますが、この血管は脆弱なため、破綻して出血しやすく、血痰や喀血として症状に現れます。

血痰

膿性痰

粘液性痰

ピンク色泡沫状痰

午前(AM) 問10

黄色のバイオハザードマークが貼付されている容器に廃棄するのはどれか。
1.開封した注射針
2.血液が入った採血管
3.痰が入った採取容器
4.血液が付着したガーゼ
5.採血時に用いた酒精綿
答えはコチラ
1.開封した注射針

 

 

解説

感染性廃棄物は、他の廃棄物と分別し、内容物が飛散・流出する恐れのない容器で保管・運搬することが決められています。
また、容器や保管場所には、感染性廃棄物の表示(バイオハザードマーク)が義務付けられているため、しっかり覚えておきましょう。

「福興産業株式会社」より引用

安全な処理のために

1.開封した注射針
注射針は鋭利なものなので、黄色のバイオハザードマークの付いている容器に廃棄します。

2.血液が入った採血管
血液は液状のものなので、赤色のバイオハザードマークの付いている容器に廃棄します。

3.痰が入った採取容器
痰は泥状のものなので、赤色のバイオハザードマークの付いている容器に廃棄します。

4.血液が付着したガーゼ
血液は液状ですが、廃棄するものは固形状のガーゼであるため、橙色のバイオハザードマークの付いている容器に廃棄します。

5.採血時に用いた酒精綿
酒精綿、つまりアルコール綿は固形状であるため、橙色のバイオハザードマークの付いている容器に廃棄します。

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