臨床検査技師国家試験の第67回を解説します【午前(AM) 問36~問40】
カリスマ検査技師K

こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。

午前(AM) 問36

生体内で炎症時に減少する蛋白質成分はどれか。
1.α1-アンチトリプシン
2.α1-酸性糖蛋白
3.ハプトグロビン
4.トランスフェリン
5.フィブリノゲン

答えはコチラ
4.トランスフェリン

 

 

解説

生体内で炎症が起こると、マクロファージなどから炎症性サイトカインが放出されます。
この炎症性サイトカインが、肝細胞に働いて蛋白合成を正または負に制御します。
これにより、肝臓で合成が著明に増加する蛋白質を急性相反応蛋白(acute phase proteins ; APP)といいます。

代表的なAPP
C反応性蛋白(CRP)
 血清アミロイドA蛋白(SAA)
α1-アンチトリプシン(α1-AGP)
α1-酸性糖蛋白(α1-AT)
セルロプラスミン(Cp)
ハプトグロビン(Hp)
ヘモペキシン(Hpx)

一方、肝臓で合成が低下する蛋白質を負のAPPといいます。

代表的な負のAPP
アルブミン
トランスサイレチン(プレアルブミン)
トランスフェリン
レチノール結合蛋白

α1-AGP、α1-ATはα1-グロブリン分画
Cp、Hpはα2-グロブリン分画
Hpxはβ-グロブリン分画
アルブミン、トランスサイレチンはアルブミン分画
トランスフェリンはβ-グロブリン分画
を反映するため下図のように、アルブミン分画で低下、α1-グロブリン分画、α2-グロブリン分画で増加の見られる血清蛋白分画となります。

出典:「血液の話 Q&A」
http://ketsueki.doremi3.com/2006/12/ag.html

1.α1-アンチトリプシン
2.α1-酸性糖蛋白
3.ハプトグロビン
はAPPであるため、炎症により増加します
また、フィブリノゲンも炎症による組織の破壊などにより増加します
4.トランスフェリンは負のAPPの一つであり、炎症により減少します

午前(AM) 問37

ビリルビンの極大吸収波長(nm)はどれか。
1. 260
2. 340
3. 450
4. 540
5. 570

答えはコチラ
3. 450

 

 

解説

ビリルビンの極大吸収波長は450nmです。

出典:「自動分析装置を使用した臨床化学の比色分析について」
http://www.sairingi.com/group/kagaku/web/analysis01.pdf

このため、ビリルビン酸化酵素(ビリルビンオキシダーゼ;BOD)を用いた酵素法では450nmの吸光度の減少を測定します。
一方、ジアゾカップリング反応を利用したジアゾ法では、反応により生じるアゾビリルビンの紅色を535nmで測定するので、混合しないよう気をつけましょう。

午前(AM) 問38

細胞内液に含まれるイオン[mEq/L]で最も多いのはどれか。
1.Cl-
2.HCO3-
3.HPO42-
4.Mg2+
5.Na

答えはコチラ
3.HPO42-

 

 

解説

細胞内液にはカリウム(K+)やリン酸(HPO42-)イオンが多く、細胞外液ではナトリウム(Na+)やクロール(Cl―)イオンが主な電解質です。
体液の電解質組成が細胞の内と外で著しく異なるのは、細胞を包んでいる細胞膜が電解質の移動を制御しているためです。
各電解質の役割と濃度は下の図を参考にしてみてください。

出典:「輸液の基礎知識」
https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/knowledge/

したがって、選択肢の中ではHPO42-が最も多く存在しているといえますね。
Na +が細胞外液で多く、K+が細胞内液で多いということも大切ですので一緒に覚えておきましょう!

私のインスタ投稿です!覚えやすい方法ですので、良かったら参考にして下さい。

午前(AM) 問39

リポ蛋白の表面部に存在しているのはどれか。2つ選べ。
1.レシチン
2.遊離脂肪酸
3.トリグリセライド
4.遊離型コレステロール
5.エステル型コレステロール

答えはコチラ
1.レシチン 4.遊離型コレステロール

 

 

解説

リポ蛋白質は、エステル型コレステロールとトリグリセライドから構成される疎水性コア(非極性脂質)、リン脂質とコレステロールから構成される親水性外殻(極性脂質やアポ蛋白)からなります。
非極性脂質はそのままでは水(血液)に溶け込めないため、極性脂質やアポ蛋白で包み込んで、親水性にし、水に溶け込めるようにしています。

出典:「日経 Gooday」
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/inspection/SBK09300/

1. レシチン
レシチンはグリセロリン脂質であり、細胞膜の構成成分です。
ホスファチジルコリンとも呼ばれます。リポ蛋白の表面部に存在します。

2. 遊離脂肪酸
遊離脂肪酸とはホルモン感受性リパーゼ(LPL)により脂肪組織のトリグリセリドが加水分解されて生じた脂肪酸です。
アルブミンと結合して血中に存在しています。リポ蛋白とは特に関係がありません。

3. トリグリセライド
トリグリセライドは非極性脂質の一つで、リポ蛋白の内側に存在します。

4. 遊離型コレステロール
遊離型コレステロールは極性を示し、リポ蛋白の表面部に存在します。

5. エステル型コレステロール
エステル型コレステロールは非極性脂質の一つで、リポ蛋白の内側に存在します。

午前(AM) 問40

中間比重リポ蛋白(IDL)の比重について正しいのはどれか。
1.HDL3とHDL2の中間
2.HDL2と LDLの中間
3.LDLとVLDLの中間
4.VLDLとCMの中間
5.CMとCMレムナントの中間

答えはコチラ
3.LDLとVLDLの中間

 

 

解説

血中リポ蛋白は脂質の組成・含有量、アポ蛋白の種類などにより5種類に大別され、これらは超遠心分離を行うとその比重の違いにより分けることができます。


出典:「国試かけこみ寺」
https://kokushi-kakekomi.com/lipoprotein

したがってIDLはVLDLとLDLの中間に位置することが分かりますね。

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