臨床検査技師国家試験の第67回を解説します【午前(AM) 問21~問25】
カリスマ検査技師K

こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。

午前(AM) 問21

吸気および呼気ともに最大努力で得られたフローボリューム曲線を別に示す。
考えられるのはどれか。
1.気管狭窄
2.間質性肺炎
3.気管支喘息
4.胸椎後側側弯症
5.慢性閉塞性肺疾患

答えはコチラ
1.気道狭窄

 

 

解説

図のフローボリューム曲線をみてみると、ピークフローが確認できず、一定の流速を保っていることがわかります。
このような気流速度が一定となるパターンは気道狭窄が起こっている場合にみられます。
上気道の閉塞により呼気が全体的に抵抗を受けるため、気流速度は一定以上に上昇せず、台形の曲線となります。よって1.気道狭窄が答えです。

2. 間質性肺炎
拘束性換気障害の代表的な疾患です。
線維化により細気管支が代償性に拡張し、末梢の気道速度はあまり低下しないため、上に凸の曲線となります。また、肺気量が減少しているため、曲線の幅は狭くなっています。

3. 気管支喘息
閉塞性換気障害の代表的な疾患です。
末梢気道が全体的に狭窄しているため、気流速度が低下して下に凸の曲線となります。

4. 胸椎後側側弯症
間質性肺炎と同じく拘束性換気障害をきたします。
したがって上に凸で幅の狭い曲線となります。

5. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
COPDは閉塞性換気障害をきたしますが、それとは別にCOPDパターンが存在します。
肺活量の減少が著しいため、呼出できる空気が少なく、ピークフローが低下します。
また、末梢に高度な狭窄があるため、ピーク以降の気流速度が急激に低下し、気管支喘息のパターンよりもさらに下に凸の曲線となります。



出典:「時事メディカル」https://medical.jiji.com/medical/012-0029-99

午前(AM) 問22

ガス希釈法による測定が必要な肺気量分画はどれか。2つ選べ。
1.全肺気量
2.1回換気量
3.最大呼気量
4.予備呼気量
5.機能的残気量

答えはコチラ
1.全肺気量 5.機能的残気量

 

 

解説

ガス希釈法とはHeやN2ガスを用いて行う検査で、スパイロメトリーでは測定できない残気量を測定することができます。
したがって、残気量が必要なものを選択します。

1. 全肺気量は肺活量+残気量で求められます。
5. 機能的残気量は予備呼気量+残気量で求められます。
2〜4. は全てスパイロメトリーで測定することができます。


出典:「看護roo!」https://www.kango-roo.com/learning/5225/

午前(AM) 問23

低水準消毒が適切でないのはどれか。
1.ヘッドホン
2.心電図の電極
3.マウスピース
4.ノーズクリップ
5.体表アプローチエコープローブ

答えはコチラ
3.マウスピース

 

 

解説

3. マウスピースは直接口腔内に入れて使用するため、低水準消毒では不十分です。
その他の選択肢は全て体表に付けて使用するものであるため、低水準消毒で事足りるということですね。

午前(AM) 問24

超音波画像のアーチファクトで虚像が出現しないのはどれか。
1.音響陰影
2.多重反射
3.レンズ効果
4.サイドロープ
5.ミラーイメージ

答えはコチラ
1.音響陰影

 

 

解説

1.音響陰影
反射面の後方は超音波が通過できないため、無エコー帯がみられます。この無エコー帯を音響陰影といいます。
結石や骨、消化管ガスなどインピーダンスに差がある反射面でよくみられます。
影のようになるだけなので、特に虚像は出現しません。

出典:「超音波の基礎原理を学ぼう!」https://www.jsmoc.org/arch/arch3.html

2.多重反射
ビーム上に強い反射面があると、プローブと反射面との間で反射が繰り返され、等間隔に線がみられ、虚像が出現するといえます。
反射面として、腹壁、腹膜、筋膜などが挙げられます。
また、胆嚢石によりみられるcomet-like echoもこの多重反射の一つで、関節的に診断の補助となることもあります。

出典:「超音波の基礎原理を学ぼう!」https://www.jsmoc.org/arch/arch3.html

3.レンズ効果
超音波が音速の異なる組織との境界面を斜めに通過すると屈折がおき、あたかもビーム上に別の反射体が存在するようにみえます。
このような虚像がみられる現象をレンズ効果といいます。
腹直筋でよくみられます。

出典:「超音波の基礎原理を学ぼう!」https://www.jsmoc.org/arch/arch3.html

4.サイドロープ
メインローブを囲む弱い放射状のビームで、メインローブの近くにガスや結石などの反射の強い物体があると、サイドローブによる虚像が現れます。

出典:「超音波検査法セミナー」http://www.us-kensahou-seminar.net/muse6/ch1/sub2/index.html

5.ミラーイメージ
横隔膜のように強い反射体が存在する場合に、反射体を挟んで等距離に鏡に映したような像が出現することがあり、ミラーイメージ(鏡面反射)といいます。

出典:「超音波検査法セミナー」http://www.us-kensahou-seminar.net/muse6/ch1/sub2/index.html

午前(AM) 問25

右季肋骨縦走査による超音波像を別に示す。
所見はどれか。
1.肝表面不整
2.カメレオンサイン
3.ブルズアイサイン
4.モザイクパターン
5.肝腎コントラストの増強

答えはコチラ
5.肝腎コントラストの増強

 

 

解説

肝臓と腎臓は正常であればほぼ同一のエコーレベルを呈します。
しかし、画像を見てみると、肝臓の方が高輝度エコーとなっていることがわかりますね。
これを「肝腎コントラストの増強」といい、脂肪肝の典型的な像です。

1.肝表面不整
肝硬変に見られる所見です。
他に、肝縁の鈍化、肝右葉萎縮、左葉腫大、腹水、側副血行路の形成、脾腫などが見られます。

出典:「超音波検査法セミナー」
http://www.us-kensahou-seminar.net/muse2/ch1/sub2/index.html

2.カメレオンサイン
肝海綿状血管腫で見られる所見です。
肝臓内に見られる高輝度エコー腫瘤が息こらえや体位変換で内部エコーが変化することがあり、その現象をカメレオンサインと言います

出典:「超音波検査法セミナー」
http://www.us-kensahou-seminar.net/muse5/ch3/sub2/index.html

3.ブルズアイサイン
転移性肝腫瘍に見られる所見です。腫瘍の中心部が壊死し、牛の目のように見えることからブルズアイサインと呼ばれています。
原発性肝癌との鑑別に有用です。

出典:「超音波検査法セミナー」
http://www.us-kensahou-seminar.net/muse5/ch6/sub2/index.html

4.モザイクパターン
肝細胞癌に見られる所見です。
日本語では腫瘍内腫瘍様所見と呼びます。
肝細胞癌には皮膜があるため、外側陰影、後方のエコー増強、辺縁低エコー帯が見られます。

出典:「超音波検査法セミナー」
http://www.us-kensahou-seminar.net/muse5/ch1/sub3/index.html

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