臨床検査技師国家試験の第67回を解説します【午前(AM) 問86~問90】
カリスマ検査技師K

こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。

午前(AM) 問86

Donath-Landsteiner抗体の特徴として正しいのはどれか。
1.異好抗体
2.温式抗体
3.自然抗体
4.CD35特異性
5.P血液型特異性

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5.P血液型特異性

 

 

解説

Donath-Landsteiner抗体(DL抗体)はP血液型特異性IgG抗体であり、P抗原に反応します。
DL抗体は低温で赤血球と結合し、体温付近で解離する寒冷式自己抗体の一種です。
一度低温でDL抗体と結合した赤血球は、解離する際に活性化された補体によって血管内溶血を起こし、冷式自己免疫性溶血性貧血の原因となります。

1 異好抗体
異好抗体とは異種に対する抗体のことをいいます。
例えばヒトの血液の中にはマウス抗体に対するヒト抗体が存在している場合があり、HAMA(Human Anti-Mouse Antibody)と呼びます。
他にもヤギ、ヒツジ、ウサギなどの動物に対する抗体も知られています。
これらが存在するとELISAなどのマウス抗体を使用する検査で偽陽性の原因となってしまいます。

2 温式抗体
温式抗体とは37℃以上の温度で赤血球と反応する自己抗体のことをいいます。
温式抗体のほとんどがIgG抗体で、主に脾臓で溶血が生じる血管外溶血を起こし、温式自己免疫性溶血性貧血の原因となります。

3 自然抗体
自然抗体とは、免疫された機会がないと思われる健常人から検出された抗HLA(ヒト白血球型抗原)抗体のことをいいます。
ウイルスや食物蛋白を免疫原とし、HLA抗原とエピトープを共有する抗体と推定されていますが、臨床的な意義については未だ不明です。

午前(AM) 問87

87 遺伝性血管神経性浮腫の原因はどれか。
1.C3欠損
2.CD59欠損
3.補体の寒冷活性化
4.C1インヒビター欠損
5.アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損

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4.C1インヒビター欠損

 

 

解説

遺伝性血管浮腫は補体C1インヒビターが欠損していることにより、補体系などの働きが亢進する疾患です。
口唇や、四肢など全身に浮腫を引き起こします。

1 C3欠損
C3欠損症は常染色体劣性遺伝形式をとる稀な先天性免疫不全症であり、様々な感染症や免疫複合体病を引き起こします。

2 CD59欠損
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)ではCD55CD59など補体制御因子が欠損したPNH赤血球が検出されます。

3 補体の寒冷活性化
血清を低温に放置した時に補体価(CH50)が試験管内で低下する現象をCold Activationと呼び、これはC型肝炎ウイルス感染例で多く報告されています。

5 アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損
ADA欠損症とはADA遺伝子の変異によってADA酵素活性が欠損し、毒性物質が体内に蓄積することでリンパ球が障害され、免疫不全に陥る病気です。
生後まもなく非常に重い免疫不全の症状をきたすことがあります。

午前(AM) 問88

Donath-Landsteiner免疫担当細胞で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.B 細胞は抗原提示能を持たない。
2.マスト細胞は Fcγ 受容体を発現している。
3.NK 細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃する。
4.マクロファージはオプソニン化した細菌を貪食する。
5.CD8 陽性キラー T 細胞は MHC クラスⅡ抗原と反応する。

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マスト細胞は Fcγ 受容体を発現している。 3 NK 細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃する。 4 マクロファージはオプソニン化した細菌を貪食する。 ※複数の選択肢が正解として採点されました。

 

 

解説

1. B 細胞は抗原提示能を持たない。→持つ
抗原提示細胞にはマクロファージ、B細胞、樹状細胞があり、外部から侵入した異物のを認識し、その情報をMHCクラスⅡに乗せてヘルパーT細胞に伝えます。

 

抗原提示細胞の覚え方

「真っ黒美人」

・真っ黒→マクロファージ
・美→B細胞
・人→樹状細胞

 

2.マスト細胞は Fcγ 受容体を発現している。
Ⅰ型アレルギーはマスト細胞上に発現しているFcε受容体IgE抗体が結合することでヒスタミンなどのケミカルメディエータを放出することで発症します。
Fc受容体にはそれぞれ対応する抗体によって名付けられています。
Fcα受容体:IgA抗体と結合
Fcγ受容体:IgG抗体と結合
Fcμ受容体:IgM抗体と結合
Fcε受容体:IgE抗体と結合
おそらく、IgE抗体と結合するからFcε受容体である、と答えさせたかったのでしょうが、実は直接関与はしませんがFcγ受容体も発現しています。
そのためこの選択肢も正解となります。

3.NK 細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃する。
NK細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃し、感染を押さえ込みます。
キラーT細胞と似た働きをしていますが、キラーT細胞は異常細胞の抗原を認識して特異的に攻撃するのに対し、NK細胞は非特異的に認識し、攻撃します。

4.マクロファージはオプソニン化した細菌を貪食する。
オプソニン化とは抗原に補体や抗体などのオプソニンが結合し、食細胞(好中球やマクロファージ)に貪食されやすくすることです。

5.CD8 陽性キラー T 細胞は MHC クラスⅡ抗原と反応する。→MHCクラスⅠ抗原
キラーT細胞はMHCクラスⅠ抗原と反応し、異常細胞を認識して攻撃します。
一方CD4陽性ヘルパーT細胞は抗原提示細胞からMHCクラスⅡ抗原を認識し、異物の情報を受け取ります。

 

午前(AM) 問89

造血幹細胞移植の提供者に行うべき検査はどれか。2つ選べ。
1.HLA 検査
2..HIV 抗体検査
3.不規則抗体検査
4.単球貪食能試験
5.リンパ球サブセット検査

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1.HLA 検査 2.HIV 抗体検査

 

 

解説

HLAとはHuman Leukocyte Antigen(ヒト白血球抗原)の頭文字を取ったもので、白血球の抗原として発見されましたが、後にほとんどすべての細胞に発現している抗原と分かりました。

造血幹細胞移植や臓器移植では自分のHLAのタイプに合わないものはすべて異物と認識して攻撃を始めてしまうため、HLAの適合性が重要視されます。
そのため、主に血縁者間でHLA検査を行ない、ドナーとレシピエントの適合性を読み取ることが必要となります。

また、HIV抗体を持っていた場合、HIVに感染しており、移植によってレシピエントも感染してしまうため、必ず移植前にHIV抗体検査を行ないます。

午前(AM) 問90

医療計画の5疾病5事業でないのはどれか。
1.高血圧
2.糖尿病
3.災害医療
4.精神疾患
5.周産期医療

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1.高血圧

 

 

解説

5疾病

患者数・死亡者数が多く、症状の経過により細かな対応が必要でかつ医療機関の機能に応じた対応や連携が必要なものとして、以下の疾病が挙げられています。

・脳卒中
・がん
・急性心筋梗塞
・糖尿病
・精神疾患

5事業

医療を取り巻く情勢から政策的に推進すべき医療、また医療体制の構築が患者や住民を安心して医療を受けられるようになるものとして以下の事業が挙げられています。

・救急医療
・災害医療
・へき地医療の支援
・周産期医療
・小児医療


5疾病・5事業の覚え方

『能登がきしんだ首相救済へ』

・の→脳卒中
・と→糖尿病
・が→がん
・き→急性心筋梗塞
・しんだ→精神疾患
・しゅ→周産期医療
・しょう→小児医療
・きゅう→救急医療
・さい→災害医療
・へ→へき地医療

しかし、次の医療計画である第8次医療計画の記載事項に新たな事業として「新興感染症等の感染拡大時における医療」を追加するそうです。
その背景には新型コロナウイルスの流行が大きく影響しています。
そのため、次の第8次計画(期間2024~2029年度)からは5疾病・6事業などとなるそうです。


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