臨床検査技師国家試験の第67回を解説します【午前(AM) 問91~問95】
カリスマ検査技師K

こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。

午前(AM) 問91

正しい組合せはどれか。
1.禁煙教室 一次予防
2.健康相談 二次予防
3.服薬指導 三次予防
4.作業環境測定 二次予防
5.精神科デイケア 一次予防

答えはコチラ
1.禁煙教室 一次予防

 

 

解説

疾病の進行段階は、潜伏期(感受性期)、疾病前期、疾病後期の3つに分けられています。
それぞれの時期への対応が一次予防、二次予防、三次予防となります。

 

1.禁煙教室 一次予防
喫煙は百害あって一利なし。禁煙は疾病予防の1つとなります。

2.健康相談 二次予防 → 一次

3.服薬指導 三次予防 → 二次
服薬指導は適切な治療に入ります。

4.作業環境測定 二次予防 → 一次
作業環境測定は環境の整備に入ります。

5.精神科デイケア 一次予防 → 三次
精神科デイケアはQOLの向上や社会復帰を目的とします。

午前(AM) 問92

健康日本 21(第二次)に含まれないのはどれか。
1.健康格差の縮小
2.健康寿命の延伸
3.生活習慣病の予防
4.高齢者の社会参加の促進
5.児童の虐待防止対策の強化

答えはコチラ
5.児童の虐待防止対策の強化

 

 

解説

健康日本21(第二次)とは
21世紀の日本では少子高齢化や疾病構造の変化が進んでいます。
そのようななかで生活習慣や社会環境の改善を通じて、子供から高齢者まで全ての国民がともに支え合いながら希望や生きがいを持ち、ライフステージ(乳幼児期、青壮年期、高齢期などの人の生涯における各段階)に応じて、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現する。
その結果、社会保障制度が持続可能なものになるよう、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な事項を示した「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動」の略です。

  • 健康寿命の延伸健康格差の縮小
  • 生活習慣病の発症予防重症化予防の徹底
  • 社会生活を営むために必要な機能の維持および向上
  • 健康を支え、守るための社会環境の設備
  • 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善

5.児童の虐待防止対策の強化は児童虐待防止対策という政策に含まれています。

健康日本21について詳しく知っていなくても健康には関与しなそうな児童虐待を選択すれば正解にたどり着けそうですね。

午前(AM) 問93

ダイオキシン類について誤っているのはどれか。
1.催奇形性がある。
2.神経毒性がある。
3.生物濃縮を起こす。
4.DNA 障害作用がある。
5.内分泌攪乱作用がある。

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4.DNA 障害作用がある。

 

 

解説

ダイオキシン類は、塩化ビニルなどの焼却によって生じる毒性のある化学物質です。
第60回の国家試験にも似たような問題が出題されているので、しっかり覚えておく必要がありそうですね!

ダイオキシン類は非遺伝性のため、直接的なDNA障害作用はもっていません。
したがって4番が誤りとなります。

午前(AM) 問94

原因物質と職業がんの組合せで誤っているのはどれか。
1.石綿―肺癌
2.ヒ素―皮膚癌
3.ベンゼン―白血病
4.β-ナフチルアミン―胆管癌
5.塩化ビニルモノマー―肝血管肉腫

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4.β-ナフチルアミン―胆管癌

 

 

解説

石綿―肺癌
石綿アスベストとも呼ばれ、かつて建物の断熱剤などでも多く使用されてきました。
現在ではその発がん性の強さから使用が禁止されていますが、当時石綿を扱っていた仕事をしていた方々の肺には石綿が蓄積されており、それが最近になって肺癌中皮腫として発現してきています。

2.ヒ素―皮膚癌
ヒ素は農薬などに使用されています。
ヒ素中毒には急性と慢性があり、慢性ヒ素中毒皮膚癌の原因の1つとなっています。

3.ベンゼン―白血病
ベンゼンは化学工業の基礎原料としてよく使用されますが、低濃度のベンゼンでも長期間吸い込むと白血病を引き起こす可能性があります。

4.β-ナフチルアミン胆管癌膀胱癌
β-ナフチルアミン芳香族アミンの一種で、膀胱癌の原因の1つと言われています。
現在では使用が禁止されていますが、今でも蓄積されたβ-ナフチルアミンの影響で膀胱癌を発症する方がいます。
ちなみに胆管癌の原因の1つにジクロロプロパンが関係していると言われています。
こちらが問われることもあると思うので一緒に覚えておきしょう!

5.塩化ビニルモノマー―肝血管肉腫
塩化ビニルモノマーはポリ塩化ビニル生産に必要な物質ですが、肝血管肉腫との関連性が報告されています。

午前(AM) 問95

生体物質の光学的特性について正しいのはどれか。
1.水は赤外線の吸収が小さい。
2.硝子体は可視光をよく吸収する。
3.ヘモグロビンは近赤外線をよく吸収する。
4.生体の高分子物質は紫外線をよく吸収する。
5.メラニンは波長が長い可視光をよく吸収する。

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4.生体の高分子物質は紫外線をよく吸収する。

 

 

解説

1.水は赤外線の吸収が小さい。→大きい
水は赤外線をよく吸収します。
この吸収した赤外線を使って液体から気体へ蒸発させようとします。

2.硝子体は可視光をよく吸収する。→紫外線
物を見るときにもっとも重要で繊細な組織は網膜であり、刺激の強い紫外線により特に傷つきやすいです。
この網膜を保護するために、硝子体や水晶体、角膜は紫外線をよく吸収し、網膜まで紫外線が届かないようにしています。

3.ヘモグロビンは近赤外線をよく吸収する。??
調べたのですが解説が分からず。。。。詳しい方いましたら連絡いただけると幸いです。

4.生体の高分子物質は紫外線をよく吸収する。
紫外線は生体内の高分子物質により吸収されます
生体内の高分子物質はDNAやRNA、コラーゲンなどがあります。

5.メラニンは波長が長い可視光をよく吸収する。→短い
メラニンはヒトの皮膚の色を形成する物質で、体表において紫外線を吸収して、そのエネルギーが体内まで到達しないようにしています。
紫外線とは可視光よりも波長が短く、強いエネルギーをもちます。