臨床検査技師国家試験の第67回を解説します【午前(AM) 問31~問35】
カリスマ検査技師K

こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。

午前(AM) 問31

ケトン体はどれか。2つ選べ。
1.胆汁酸
2.アセトン
3.ピルビン酸
4.アラキドン酸
5.3-ヒドロキシ酪酸

答えはコチラ
2.アセトン 5.3-ヒドロキシ酪酸

 

 

解説

ケトン体とは
アセト酪酸
3-ヒドロキシ酪酸
アセトン
の総称です。

語呂→ひどい汗

ひど:β-ヒドロキシ酪酸

あせ:アセト酢酸、アセトン

 

上記で覚えると忘れにくいですよ!

このうち、アセト酪酸と3-ヒドロキシ酪酸は肝ミトコンドリアでアセチル-CoAから合成されます。

午前(AM) 問32

ビタミン欠乏症と疾患の組み合わせで誤っているのはどれか。
1.ビタミンA―夜盲症
2.ビタミンB1―Wernicke脳症
3.ビタミンC―壊血病
4.ビタミンD―くる病
5.ビタミンK―脚気

答えはコチラ
5.ビタミンK―脚気

 

 

解説

ビタミンKは出血傾向をきたします。
一方、脚気はビタミンB1の欠乏で起こります。
ビタミン欠乏症とその疾患についてはよく出題されますが、覚えにくいですよね^^;
こういう時はゴロに頼りましょう!

ビタミンA
「Aする夜」

A:ビタミンA
夜:夜盲症

ビタミンD
「なんか来るで〜!」

なんか:骨軟化症
来る:くる病
で〜!:D

ビタミンE
「いーケツ、良いケツ」

いー:E
良いケツ:溶血性貧血

ビタミンK
「出血K向」

出血傾向

ビタミンC
「ビシッと、『正解は米』」

ビシッ:ビタミンC
正:成人
解:壊血病
こ:子供
め:メラーバーロー病

ビタミンB1
「敏腕駆け出し、ウェルカム!」

敏腕:ビタミンB1
駆け:脚気
ウェルカム:ウェルニッケ脳症

ビタミンB2
「ブツブツ内閣」

ブツブツ:ビタミンB2
内:口内炎
閣:口角炎

ビタミンB6
「コーヒービーム!」

コー:口内炎
ヒー:皮膚炎
ビーム:ビタミンB6

ビタミンB12
「住人は凶悪ハンター」

住人:ビタミンB12
凶:巨赤芽球性貧血
悪:悪性貧血
ハンター:ハンター舌炎

午前(AM) 問33

ヘキソキナーゼが作用する糖はどれか。2つ選べ。
1.リボース
2.リブロース
3.ガラクトース
4.キシルロース
5.フルクトース

答えはコチラ
3.ガラクトース 5.フルクトース

 

 

解説

ヘキソキナーゼは6炭糖に作用します。
そのため、6炭糖であるガラクトースとフルクトースを選びましょう。
リボース、リブロース、キシルロースはいずれも5炭糖です。
ゴロも載せておきますね!

五炭糖(ペントース)のゴロ
『ペンとリボンでアラビアの騎士』

ペンと:ペントース
リボ :リボース
アラビ:アラビノース
騎士 :キシロース

六炭糖(ヘキソース)のゴロ
『マングースガムあるよー古いけど』

マン :マンノース
グース:グルコース
ガ  :ガラクトース
ム  :六単糖
あるよー:アルドース
古い :フルクトース
けど :ケトース

 

午前(AM) 問34

糖代謝について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ソマトスタチンはインスリン分泌を促進する。
2.インスリン抵抗性はインスリン分泌が低下した状態である。
3.C-ペプチドとインスリンは1:2の分子数比で放出される。
4.糖新生系はピルビン酸からグルコースを新生する代謝系である。
5.ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)はインクレチンを分解する。

答えはコチラ
4.糖新生系はピルビン酸からグルコースを新生する代謝系である。 5.ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)はインクレチンを分解する。

 

 

解説

1. ソマトスタチンはインスリン分泌を抑制する
ソマトスタチンは膵臓のランゲルハンス島・胃(幽門部、胃底腺領域)・十二指腸のD細胞から分泌されます。
インスリンやグルカゴンなどの分泌を抑える働きがあります。

2. インスリン抵抗性はインスリン感受性が低下した状態である。
インスリン抵抗性とは、組織におけるインスリン感受性が低下し、インスリンが効きにくくなっている状態を意味します。
通常であればインスリンによって細胞は糖を取り込むことができるのですが、インスリン抵抗性が高まると、細胞は糖を取り込みにくくなり、結果、高血糖となってしまいます。

3. C-ペプチドとインスリンは1:1の分子数比で放出される。
C-ペプチドとは、インスリンの前駆体であるプロインスリンから産生される物質で、1分子のプロインスリンから1分子のインスリンとCペプチドが産生されます。
血中に分泌されるインスリンとCペプチドは同じ分子数であるため、Cペプチドを測定することにより、内因性インスリン分泌能を評価することができます。
また、外因性インスリン(インスリン製剤)の影響を受けないことも利点の一つです。

4. 糖新生系はピルビン酸からグルコースを新生する代謝系である。
糖新生とは、血中の糖が少なくなったとき、肝臓でグリコーゲン以外のものからグルコースを合成し、足りない糖を補うことをいいます。
筋からのアミノ酸、乳酸、ピルビン酸、脂肪組織からのグリセロールなどが使われます。

5. ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)はインクレチンを分解する。
インクレチンとは、食事摂取に伴い消化管から分泌され、膵β細胞からのインスリン分泌を促進するホルモンの総称です。
インクレチンは、生体内で酵素であるDPP-4により数分以内に分解・不活性化されます。このDPP-4の働きを阻害する薬が開発されており、2型糖尿病の治療薬の一つとして用いられています。

午前(AM) 問35

無機質と結合蛋白質の組み合わせで正しいのはどれか。
1.鉄−トランスサイレチン
2.銅−α2-マクログロブリン
3.亜鉛−セルロプラスイミン
4.カルシウム−フェリチン
5.マグネシウム−アルブミン

答えはコチラ
5.マグネシウム−アルブミン

 

 

解説

1. 鉄―トランスフェリン
鉄はトランスフェリン1分子に3価の鉄を2個結合して、血液中で輸送されています。
似た名前のトランスサイレチンと間違えないようにしましょう。
トランスサイレチンはアルブミンよりも陽極側に泳動されるので、プレアルブミンとも呼ばれています。

2. 銅―セルロプラスミン
血清中の銅の約95%はセルロプラスミンに強く結合しています。
銅の細胞内への取り込みはセルロプラスミンのレセプターを介して行われます。
また、セルロプラスミンはフェロオキシダーゼ活性(鉄の酸化活性)や貯蔵鉄動員作用を持つことから、鉄代謝にも強く関与します。

3. 亜鉛―α2-マクログロブリン
亜鉛は血清ではアルブミンやα2-マクログロブリンと結合し運搬されています。

4. カルシウムーアルブミン
血清中のカルシウムは約50%がイオン化カルシウム、約45%は主にアルブミンと結合、残りの約5%はクエン酸などとの複合体型(化学結合型)のかたちで存在しています。
生理活性として作用するのはイオン化型です。
この血清中に存在する割合もよく試験で出題されるため、一緒に覚えておきましょう。

5. マグネシウムーアルブミン
血漿中のマグネシウムは約55%がイオン型、約30%はタンパク結合型(主にアルブミンと結合)、約15%がクエン酸などの塩と結合した複合体型として存在しています。

【臨床検査技師のたまご塾オンライン】の紹介

この塾では臨床検査技師のたまご達が国家試験の勉強や就活、病院実習などに関する様々な情報を共有して、参加者全員が一緒に成長することを目指す場となっております。
私自身が「学生の頃にこんな場所があったらよかったのに」と思えるような塾を目指して、日々運営しております。
検査学生の方や、国家試験浪人生の方々のご参加心よりお待ちしております。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。