病理部で働く臨床検査技師の仕事内容を紹介!!実際に働いている検査技師がお話しします。
カリスマ検査技師K

こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。

今回は病理部で働く臨床検査技師の仕事内容について、実際に病理部で働いている臨床検査技師の方にお話を聞いていきたいと思います。

カリケン 笑顔

それではまい先生よろしくお願いします。

女性女性

はじめまして。まいです。
よろしくお願いします。

私は臨床検査技師として病院の病理部で働いています。
今回は病院の病理部で働く臨床検査技師の仕事内容についてお話ししたいと思います。

病院の病理部ってどんなところ?


病院のホームページなどの診療科一覧に「病理診断科」という名前があっても、外来フロアで病理診断科をみかける病院はまずありません。
たいていは手術室の近くのフロアや病院の奥まったところにあります。
私は同期の救急救命士や理学療法士に「病理診断科の場所を知らない」と言われ大変ショックでした(笑)
そのくらいあまり知られていない部署でもあります。
病院の病理部や病理診断科では病理診断を行う医師(病理医)と、病理診断に必要な標本作製をする臨床検査技師が主に在籍しています。
患者さんから採取してきた検体を処理し、顕微鏡で細胞・組織を観察できるようにして診断するのが病理診断です。
病理診断の種類としては病理組織診断、細胞診断、病理解剖の大きく3つに分かれます。
余談ですが、病理医は臨床診断と病理診断の結果を踏まえて最終的な診断を下すことから “Doctor of doctors”(医師のための医師)とも呼ばれています。
そのため病理診断科には臨床医が度々訪れ、病理医とディスカッションする姿も目にします。
自分の作製した標本を見ながらディスカッションしている姿を見ると、精度の高い標本を作らなくては…!と思います。

カリケン どや顔

ドクターがいつも近くにいるっていうのは、とても刺激になりますよね!

まい先生まい先生

もちろん患者さんのための検査だと思うんですけど、先生の診断のためにも頑張らなくちゃという気持ちになりますね!

カリケン 真顔

やっぱりそうなんですね。
ちなみにいつも近くにいるということは、話を聞くだけでも勉強にもなりますか?

まい先生まい先生

もちろん、とても勉強になります。
私は更に外科・内科・病理診断科の合同カンファレンスに出席して、先生方の意見を聞いて勉強させてもらっています。

カリケン はてな

素晴らしいですね!
全然関係ないのですが、私の病理部のイメージは、薄暗い部屋でラジオがずっと流れている様な感じです。

まい先生まい先生

ラジオはよく流れてますが、私の病院はきれいな検査室ですよ!
でも実習病院先は少し薄暗かったかもしれません(笑)

病理組織診断の仕事内容


ここからは実際に私が病院でどのような仕事を行っているのかお話ししたいと思います。
あくまでも私の勤務している病院では、という内容ですので病院の規模によって多少違ってくると思います。

切り出しおよび切り出し補助

病理組織診断の検体は内視鏡検査などで採取してきた生検検体と手術検体の2種類があります。
生検検体と手術検体の一部良性疾患については技師による切り出しを行っています。
検体取り違いなどを防ぐ取り組みとして手元をカメラで撮影している病院もあるようです。
病理医と行う切り出しについてはその日切り出しを行う検体を確認し、提出科ごとに良性から悪性検体へと並べて受付処理をしています。
こうすることで組織片のコンタミネーションを防止しています。
切り出し補助の内容としては包埋するカセットの準備、マクロ撮影(手術検体はその検体の全体像、腫瘍像、浸潤の深さなどを撮影します)、切り出しされた組織のカセット詰め、脱脂などをするカセットの仕分け、後片付け等です。
病理医とのチームワークが非常に重要になってきます。

包埋

パラフィン浸透処理された検体を包埋装置に移し替えて包埋していきます。
ピンセットで検体を包埋していくのですが、つぶさないように気を付けたりコンタミネーションを起こさないような対策をしています。
空気が入らないように注意しながらパラフィンを追加し冷却台で固めます。

薄切

包埋されたブロックを粗削りして面出しをしたのち、本削り(薄切)していきます。面出しとは組織片が均一に薄切されるように傾きを変えながらブロック全面を出す作業です。
また、薄切についても染色方法や検体の種類によって薄切する厚みを変更しています。
ミクロトームで切片の厚さを変更していても、その日の検査室の温度・湿度によりブロックの状態が変化するため、このあたりは病理技師としての経験が必要になってくる作業です。

染色

HE染色をはじめ、各種特殊染色などを私の病院ではすべて手作業で染色しています。
概ねの染色手順は頭に入っているものの、間違えると薄切からやり直すことになるため手順書を見ながら染色していきます。
施設によっては自動染色装置で染色するほか、免疫組織化学染色などを行う施設もあります。

標本チェック

封入まで終わった標本を1枚ずつ顕微鏡で目を通し、病理医に提出する前に診断に適した標本であるかを確認していきます。
紹介したように標本1枚が完成するまでいくつもの工程があるため、各作業工程に付随したアーチファクトが発生しやすいからです。詳しくはこちらのサイトをご覧になってみて下さい。

第2回西日本地区病理学技術者講習会参加報告
~薄切とアーチファクトを中心に~

術中迅速診断

手術中に提出された病変の一部や癌の切除断端を凍結して速やかに標本を作製し、病理診断することを術中迅速診断といいます。
検体の到着から標本作製、病理診断、執刀医への報告までを30分以内に行うことを心がけており、迅速さと正確さが求められる検査です。
そのため執刀医には事前に術中迅速診断の予約を入れてもらい、提出時間、提出部位や検査目的などを把握しておきます。
日によっては複数の手術室から依頼が入るので手術室と病理診断科の連携を密に図り、検体取り違いを防止しています。

カリケン 困り

病理の業務といえば細胞診のイメージでしたが、他にも色々仕事があって大変そうですね。

まい先生まい先生

業務は組織診が大半を占めています。
切り出し、包埋、薄切という工程が細胞診にはないからです。

カリケン 真顔

あ、そうなんですね。
なるほど、確かにその工程はないですよね。

まい先生まい先生

細かいことで言えば染色液の調合、使用したフラスコや染色バット等の洗浄なども手作業なので地味に大変です。
純アルコール、キシレンなども使うので常に手が荒れ気味です。

カリケン 泣き

いつも、お疲れ様です。

細胞診断の仕事内容

検体処理

細胞診は検査材料の種類によって提出方法が異なるため、それに応じた標本作製を行わなくてはなりません。
例えば、子宮頸部・膣部の婦人科材料はブラシで採取した検体をスライドガラスに塗抹する直接塗抹法または保存液に回収するLBC(Liquid-based Cytology)法で湿固定ですが、喀痰はすり合わせ法、液状検体は遠心して細胞を集める集細胞法などがあります。
多くの細胞診検体では基本となる湿固定を行いますが、検体材料によってはPAS染色やGiemsa染色を行う場合があるので乾燥固定も行い標本作製しています。

染色

Papanicolaou染色などこちらも手作業で染色しています。
自動染色装置が欲しいです(笑)

標本チェック

細胞検査士による鏡検を行い、陰性であればそのまま結果を報告しています。
判断に迷う症例や癌細胞を疑う症例(疑陽性以上)は所見や診断を記載したのち、病理医あるいは細胞診専門医にもチェックしていただきます。最終的には医師が結果を報告します。

病理解剖の仕事内容


私の病院では年に数回と少ないのですが病理解剖も行っています。
生前の治療や診断が適切であったのか、ほかに病気や生体異常はないか、そして生前に解明できなかった病気や異常の原因、その治療法などを解明するために臨床医立会いの下、病理解剖は行われます。

解剖の準備

大規模病院の病理診断科では24時間対応で病理解剖を受け付けているところもあります。
そのような病院では教育・研修のため若手技師と先輩がペアで解剖の補助を行うことが多いそうです。
私の病院では15時までに解剖の連絡が入った場合は当日、それ以降は翌日に解剖しています。
執刀者および補助者の解剖衣、手袋、マスク、キャップ、フェイスシールド、腕カバーなど感染症防御対策は厳重に行います。
そのほか解剖用の執刀用具(メス、ハサミ、腸ハサミ、肋骨穿刀、コッヘル、計量カップ、ゾンデ、ピンセット、メジャー、縫合糸など)や解剖記録用紙、カメラ、バケツ、各種検体容器など多岐にわたる準備が必要です。

解剖

詳しい解剖手順については割愛させていただきますが、病理解剖は2~3時間かけて非常に細かい部分まで検索を行っていきます。
剖検手順を頭で追いかけながら、集中力を切らさず丁寧に粛々と解剖の補助を行うことが重要です。
解剖終了後は検体の取り忘れや器具の置き忘れがないかを執刀者と補助者で必ず確認しています。

標本作製

標本作成手順は組織診断と同じですが、全身の臓器を検索したり肉眼的な病変部は詳しく検索するためブロックが30~50個と多くなります。
ルーチン検査も当然しなくてはいけないので標本作製は手の空いている時に少しずつ進めています。
病理医が解剖報告書を作成したのち臨床病理検討会(CPC)などを経て、ご遺族へご報告されます。
解剖からご報告までに数か月かかるのが一般的です。

カリケン 困り

解剖って吐いたりして、業務出来ない人とかいそうですね。

まい先生まい先生

大丈夫な人と苦手な人がもちろんいると思います。
解剖見学される看護師や実習生の中には退室する方もいますよ。

カリケン 困り

やっぱりそうですよねぇ

まい先生まい先生

正直なところ私も解剖後は食事を摂る気になれません。
苦手な方は第二補助者として記録や器具出しの業務から携わっていけると良いですね。

カリケン 泣き

やっぱり慣れてる方でもきつい部分があるんですね。

カリケン 真顔

とても、リアルな意見が聞けて良かったです。
ありがとうございます!

まとめ

いかがでしたでしょうか?
あまり知られていない病理診断科の仕事内容についてイメージしやすくなったなら幸いです。
最後に個人的な意見ですが、病理検査技師には向いている方をまとめてみました。(もちろんコミュニケーション力などは前提です!)

病理検査技師には向いている人

・病理・細胞診について興味があり理解を深めたい人
・顕微鏡で観察したときに体内で何が起こっているのかを想像できる、想像力豊かな人
・集中力の高い人
・手先が器用な人

検体検査や生理機能検査と違って患者さんと接することはほぼありませんが、病理医の近くで医療に貢献していきたいと思っている人にはおすすめですよ。