こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。
これから臨床検査技師になる人はもちろんのこと、臨床検査技師として働いている方も自分の職場と比較してみてどれくらいであるか知りたい方は是非参考にしてみて下さい。
臨床検査技師全体の平均年収を年齢や男女別に分けて詳しく解説していきます。
臨床検査技師の平均年収はどれくらいなの?
さて、まず検査技師全体の平均年収はどれくらいなのでしょうか。以下、賃金構造基本統計調査を参考にして作成した、臨床検査技師全体と男女別の平均年収の表が以下になります。
平均 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
461万円 | 501万円 | 501万円 |
(参考:賃金構造基本統計調査|e-Stat)
検査技師全体の職場における平均年収は461万円になり、年収450万円を超えていることが一つの基準となるでしょう。検査技師の業界では女性が多く活躍していますが、女性1人の稼ぎでもある程度不自由ない生活が出来る年収となっています。
男女で年収に差がある理由としては、ライフスタイルの違いです。
私の周りでもよく見られるのが、子供を授かってから夜勤ができなくなるという女性検査技師です。
正社員からアルバイトやパートに雇用形態を変更せざるを得ない為に、若干年収が低くなります。
そのまま正社員として働いていれば、男女間で大きな年収の差はありませんが、役職が付いてくる30歳前後に、雇用形態を変更する方が多いため年収に差が出すのでしょう。
僕の病院でも聞いた感じでは男女に年収の違いはありません。
僕は病院で働いていますが、平均年収は超えてそうです。
臨床検査技師の男女別及び年齢別の平均年収モデルは?
では、さらに細かく、男女別の年齢に分けた「平均年収モデル」を見ていきましょう!
臨床検査技師の平均年収を年齢と男女別に分けてまとめてみました。
わかりきっていることではありますが、年齢や男女差で明らかに年収に違いが生まれています。
男性の検査技師は正職員の方が多く、ボーナスが付くので、全体の平均年収を超える検査技師が多い点が特徴になります。
また男性は残業をしやすい環境にいることも多いため、残業代の支給が年収を引き上げている要因の1つと考えて良いと思います。
男性検査技師、女性検査技師共に年齢と共に年収が徐々に上がります。
年齢 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
---|---|---|
20代 | 約342万円 | 約345万円 |
30代 | 約454万円 | 約397万円 |
40代 | 約525万円 | 約471万円 |
50代 | 約603万円 | 約490万円 |
60代 | 約431万円 | 約373万円 |
(出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)
これは検査技師だけに言えることではありませんが、今回の結果からは検査技師の20~29歳は年収が低く公表されています。
臨床検査技師として経験が浅い若手のころはどうしても多くの収入をもらうことはできませんが、必死にこらえて働き続けることで確実に給料は上がります。
働き続けている検査技師は、最終的に看護師さんより給料を多くもらっているというのはよく聞く話です。
また、高収入を得られる検査技師の年収のピークは50代となっています。
これはその年代の検査技師は、役職を与えられている場合が多いのが理由だと思われますが、逆に定年前後の60~69歳となると、男女ともに年収額は大きく下がっていることが分かります。
定年後は結構、給料下がってしまうみたいですね。
老後の生活に向けて頑張らなくちゃ!!
臨床検査技師の年収ランキング!職場別に詳しく紹介!
順位 | 職場 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | 臨床開発モニター(CRA) | 650万円 |
2位 | 医療機器メーカー | 600万円 |
3位 | 治験コーディネーター(CRC) | 480万円 |
4位 | 胚培養士 | 470万円 |
5位 | 病院 | 420万円 |
6位 | クリニック・健診センター | 410万円 |
7位 | 検査センター | 380万円 |
CRA(臨床開発モニター)
CRA(臨床開発モニター)は治験を実施している医療機関に訪問して、正しい治験が行われているかを調査する仕事です。
調査対象の医療機関の治験が法律やルールに則り、適切に実施されているかをモニタリングします。
見事、全体平均年収1位に選ばれた臨床開発モニター(CRA)ですが、給料が高い分やはり求められる人材のレベルなどが高いという様に感じました。
基本的な給料が、病院やクリニックで働く臨床検査技師や治験コーディネーター(CRC)よりも高くなっていますが、選考のハードルがとても高く、未経験であれば20代でないと入職が難しいと言われています。
30代からの転職であれば、更に狭き門となっており、都内や大阪などのエリアでしか採用されない可能性が高いです。
給料の上がり幅も他の職種に比べて高くなっていますが、業務時間や業務量も多いことから精神的に強い人間が求められています。
仕事内容に興味がある方や、体力面などに自信がある方は是非若いうちに挑戦すべき職種であると思います。
僕の周りにはCRAの方はいないです。いつか働いている方にお話聞いてみたいです!
もしこの記事読んでいて、お話聞かせてくれる方がいましたら連絡くれるとめっちゃ嬉しいです。
医療機器メーカー
臨床検査技師として医療機器メーカーで働く場合、アプリケーションスペシャリストと呼ばれる、営業をサポートする働き方として雇われます。
主に、医療機器メーカーにて自社の医療機器に関する知識や使用方法を理解し、医療機器の導入を考えている病院へ製品説明をします。
営業職とは違い、売り込みに行くわけではありませんので、営業が苦手な方にもお勧めできます。
アプリケーションスペシャリストはお給料も高く、夜勤も無いため、非常に人気のあるお仕事です。
しかし、良いことだけではなく、残業や出張が多い為、タフさとフットワークの軽さが求められます。
何年か前に「フットワーク軽そうだからうちにおいで!!」と、検査技師界で有名な業者から声かけてもらえましたが、出張が多いとのことで断っちゃいました。やっぱり業者さんは出張ばっかりみたいで大変そう。
治験コーディネーター(CRC)
CRCの全体平均年収は480万円ぐらいとなっています。
CRCとは病院やクリニックなどの医療機関で行われる治験を円滑に進めていく役割となります。
業務内容としては治験を行う患者さんにこれからの検査や薬について説明したり、検査値変動や異常値をいち早く医師への報告したりなどがあります。
臨床検査技師の場合、検査値変動を読み取る知識が活かせますので、勉強へのモチベーションにも繋がります。
CRAと同様に入社してから仕事を覚えるまでは大きな額の給料はもらえません。
CRC未経験者として入社してから、数年かけて仕事を覚えていき、会社の戦力となることが出来たときに一気に給料が伸びるとされています。
徐々に給料が上がっていく病院とは異なり、仕事の出来次第で高収入を得ることが出来るのが特徴です。
また、2年以上勤務すると「CRC認定資格」と呼ばれる資格を受験することが出来ますが、こちらを取得することで月2~3万円ほどの手当が付くケースが多いです。
治験から検査値を読み取らないといけないなんて、薬の知識がかなり必要で大変そうですね。給料が病院より高い理由がわかります
胚培養士
主に不妊治療に携わり、体外で精子と卵子を受精させて母体に戻すまでの過程において、胚(受精卵)を扱う専門職です。
近年、臨床検査技師に人気の職業となっていますが、これは認定資格が関連しているかと思います。
胚培養士は国家資格ではなく、日本臨床エンブリオロジスト学会の「認定臨床エンブリオロジスト」、日本卵子学会の「生殖補助医療胚培養士」の二つの学会の認定資格があります。
この認定資格を受験できる職種や経歴が限られており、その中に臨床検査技師があることが一つの理由かと思います。
気になる年収ですが、胚培養士は施設によってもらえる額にかなりバラつきがあります。
人工授精や体外受精は自由診療であることから、医療機関によって医療費が変わっていきます。
この医療費にはなぜ違いがあるのかというと、使用されている医療機器の違いや、医師や技師の手技や技術による違い、また、経営されている方の思考などで変わってくるためです。
そのため、人件費を多く払える施設であれば、検査技師がもらえる給料も多くなっていくということです。
良い医療機関を見つけることが出来れば、経験豊富な胚培養士は1000万円以上も目指すことが出来ます。
胚培養士は臨床検査技師からのキャリアチェンジが最も多い職種で年々需要が高まっていますので、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
病院やクリニックより平均年収が高いとは思ってなかったです。
病院
病院での臨床検査技師の業務は、主に患者さんを検査して病気がないか調べていくことです。
患者さんから採取した血液や尿などを検査する検体検査や、心電図やエコー検査などのように直接患者さんを検査する生理機能検査などが主な仕事内容となります。
病院では入職した後の給料は、基本的に年功序列のような形がとられており、能力にさほど左右されずに給料が上がっていきます。
役職などを持つことで給料のアップはもちろんあります。
しかしながら、言い方は悪くなってしまいますが、入職さえできればやる気がなくてもある程度給料は上がっていきますので、その点は企業と大きく異なる部分です。
就職する病院によっても給料に差があります。
大学病院、国立病院、公立病院、その他公的病院、民間病院などがあるため、給料の額は病院の大きさや形態などで変わってきます。
賞与は病院の業績によっても変わってくるため、就職や転職をする際には、病院の業績や賞与の前年度実績を調べておくと良いでしょう。
大学病院の技師長になれば1000万円も夢じゃないです!!
クリニッック、健診センター
業務内容としてはそのクリニックや健診センターが行っている検査によって変わってきますが、基本的には採血や生理機能検査がメインとなっています。
病院と比べると検査数も少なく、検査機器が用意されてないため、検体検査は外注であることがほとんどですので、検体検査に興味がある方には向いていません。
また、クリニックなどでは従業員の数が少ないため、事務対応を求められることも多く、仕事量や責任が大きくなります。
クリニックや健診センターの平均年収は病院と比べると、ほとんど変わりません。
病院では夜勤や休日出勤があるため若干クリニックより高くなっています。
しかし、夜勤がないのにも関わらず病院と給料が変わらないとなると、クリニックや健診センターはかなりライフワークのバランスが取れる良い職場なのではないでしょうか。
賞与の幅が平均すると2ヶ月~4ヶ月となりますが、賞与の用意されてないクリニックや健診センターもあるので就職活動の際にはしっかり調べてから受けるようにしましょう。
検査はしたいけど、夜勤はしたくない方にとても向いている職場です
検査センター
検査センターとは、病院やクリニックなどの医療機関に変わって検体検査を代行する機関のことを言います。
病院では自施設内である程度の検体検査を行っていますが、クリニックなどは検査機器を導入していないためほぼ全ての検体が外注、すなわち検査センターに送られるのです。
その様々な医療施設から送られてきた検体を検査していくことが、検査センターの主な業務内容となっています。
平均年収ランキング上では最下位となってしまった検査センターですが、夜勤のある検査センターも多くあるため、一概に給料が低いというわけではありません。
病院とは違って、検査センターは企業であるため役職が多めに設けられています。
そのため、実力を認めてもらい役職をもらうことで、給料アップを狙うことが出来るかでしょう。
平均年収ランキングでは最下位になっていますが、とてつもない量の検体が届きますので、病態の宝庫です!!勉強できることはたくさんあります。
まとめ
みなさん今回のランキングを見てみてどうだったでしょうか?
臨床検査技師での働き口のとして多いのは、病院、クリニック、検査センターなどですが、年収ランキングとしては下位でした。
安定して給料をもらい続けることが出来る病院などで働くのももちろん悪くないと思いますが、挑戦して給料を上げてみたいと考える方は業者さんやCRA、CACを目指してみるのもいいかもしれませんね。
また、最近では検査技師として胚培養士として働く求人も多くなってきていますので、ランキングとしても良い位置にある胚培養士として働いてみるのもいいかもしれません。
この記事を読ん臨床検査技師として、新しい職種などに挑戦する方やこれから検査技師になる方の何か少しでも役に立てていたら嬉しいです。