こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。
かなり強めのタイトルを付けさせてもらいましたが、若干釣りタイトルです。ごめんなさい。
結論から言ってしまうと、僕たちが生きている限りは臨床検査技師の仕事はならないと思っています。
もしあなたの周りに「臨床検査技師の将来性がないよね」と言う人がいるのであれば、「それは間違っているよ」とはっきり言ってやります。
確かに検査機器の自動化は進んでいますが、予防医学の進歩から健康診断や人間ドックで必要とされる臨床検査技師が増えてきています。
さらに少子高齢化と言われる世の中では、今後高齢者の人口が増え続けるため、それに伴う患者検査数の増加も考えられます。
最近では新型コロナウイルスによるPCR検査の需要から、臨床検査技師の重要性は十分に証明されましたし、これからコロナが収束したとしても、また新たな感染症が現れないとは言い切れません。
また、臨床検査技師の働く場所は病院だけではありませんので、将来性がないと言うのは間違っていると思います。
しかしながら、検査の自動化によって臨床検査技師へ与える影響はもちろんありますので、以上の内容も含め詳しくまとめてみましたので是非ご覧ください。
就職難??臨床検査技師の現状
この記事を読んでくれている方は、おそらく臨床検査技師の将来性がどうなのかというよりは、検査技師になった時に就職できるのかという部分が気になるという方が多いのかなと思います。
ですのでまず始めに、今現在の臨床検査技師の就職状況というのはどうなっているのかというところから見ていきましょう。
正直な話をすると、医師や看護師と比べれば需要は下がります。
ですが、一般企業への就職のように何十社と受けても就職先が決まらないということはまずないです。
もちろん、大学病院でしか働きたくないとか、この分野でしか働きたくないなどの気持ちが大きい場合は、それなりの努力が必要になってくると思います。
ですので、現状では強いこだわりなどなければ、臨床検査技師として就職するのは難しくはないです。
実際に僕の大学の知り合いで、「国家試験に合格したけど就職できなかった」なんて人は見たことないです。
つまり現状では臨床検査技師は就職難ではないと言えるでしょう。
では、これからの臨床検査技師について進めていきます。
ちなみに僕が新卒の時は、それなりに大きい病院を3つほど受けて決まりましたよ!
検査機器の自動化
日々発達を進めている検査機器が多くの病院へと普及されている中で、私たち臨床検査技師の立場はどう変わっていくのでしょうか。
それはこの記事を読んでいる方々も、恐らく予想できていると思いますが、
「検査の自動化が進んでしまうと検査技師は必要とされなくなるのでは?」ということではないでしょうか。
もちろん、検査機器の進歩によって私たち臨床検査技師の仕事はとても楽になりました。
しかしながら、その一方で私たち検査技師の人員削減に繋がっていることは事実であり、これから検査技師を目指す方にとっては就職できるのかという不安を感じるのは当たり前のことかと思います。
検査技師の需要
やはり、これまで人手に頼っていた検体検査などは機器の普及によって人数を削減しているため、徐々に臨床検査技師の需要は減ってきていることは事実でしょう。
しかしながら、これは病院の検査室で、検体検査専門で働く検査技師での話です。
現在では予防医学の発展によりがん検診や健康診断、人間ドックなどの健康な人が行う検査が増加傾向にあります。
また、私の病院では臨床検査技師が患者さんへ検査説明を行っています。
チーム医療の考えが進んでいる中、今までは看護師が行ってきた仕事が検査技師の仕事へと変わってきているという現状もあります。
機械化が進むことにより病院で働く検査技師の業務が減少する一面もありますが、今後はチーム医療の中で、検査技師の業務がまた違った形で増えることで検査技師としての必要性が増えていくのではないでしょうか。
新型コロナウイルスによる影響
2019年末に中国で感染者が確認されて以降、世界各国で感染が拡大している「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」ですが、もちろん臨床検査技師に与えた
影響も計り知れません。
これを検査技師の就職や将来性の観点から考えるのはあまりよくないかもしれませんが、明らかに臨床検査技師は今世界で求められています。
PCR検査をメインで行っているのは臨床検査技師ですので、多くの施設でPCR検査を行う技師が求められています。
また、研究などの観点から見ても、感染症部門でスキルのある検査技師は活躍できる幅が大きく広がっていると思われます。
これから新型コロナウイルスが収束したとしても、新たな感染症の拡大が起こる可能性も考えられます。
医療業界で働く我々臨床検査技師にとっては、新たな疾患や感染症の出現が活躍の場になっているのではないでしょうか。
僕の病院でも業務が一気に増えて大変です。
少子高齢化社会と臨床検査技師
日本は今、人口に占める高齢者の割合が増加する「高齢化」と、出生率の低下により若年者人口が減少する「少子化」が同時に進行する少子高齢化社会となっています。
この高齢化社会というのは医療業界にとっては、医療職種のニーズにもつながります。
体力低下や寝たきりの状態にある高齢者は免疫力が低下するため、病気に掛かりやすくなります。
これまで疾病治療に重点を置いてきた日本ですが、日本の高齢化に伴い、今後は疾病予防や健康増進といった領域への重要性が見直されています。
臨床検査技師には、病気の早期発見に有効な集団健康診断や人間ドックなどで更なる活躍が期待されています。
人間である限り必ず求める健康志向が、臨床検査技師の需要を高めることになるのは間違いありません。
健康志向が高まるということは、「予防医学」の重要性とともに検査技師の求人数が増えていくのです。
今後必要とされる検査技師
臨床検査技師の将来はまだまだ大丈夫だと話しましたが、実際には大きめの病院などで雇う検査技師の数が年々減っているというのは聞いたことがあります。
これは先ほどお話した様に大学病院や病床数の多い病院は、常に新しい自動機器を導入することができるからです。
大学病院などで働きたい人にとっては就職活動の際、かなり激戦になることは予想できますね。
もちろん今でも激戦ですが。
では、今後必要とされる検査技師になるには、どのように考え行動していかなければならないのかを説明していきたいと思います。
スキルアップを目指す
実際の病院で働く臨床検査技師の業務は細分化されており、部門ごとに様々な業務内容があります。
配属された分野ごとに、覚えていかなくてはならないため大変ではありますが、その分野でしっかり学び、スキルを身につけることが重要です。
そして、これからの臨床検査技師は、医師からも信頼されるような技師となる必要があると考えます。
つまりは、ただ与えられた業務をこなすだけではなく、日々自分の分野のスキルアップをしていく必要があると考えます。
配属された分野についてはどんな質問にも答えられるように、勉強をしてさらに資格試験に挑戦していくべきだと考えます。
資格試験に関しては以下を参考にしてみてください。
普段の仕事から学べる事 普段の仕事から学べる事 病院やクリニックなどにおける臨床検査技師の仕事は、その施設の【検査】に関する様々な部分に関与しているため、業務内容として複数存在します。 しかしながら、配属された分野の内容 …
努力しなければ人間は成長できません!
様々な分野で活躍する検査技師
また、臨床検査技師が勤務する場所は、病院の検査室だけではなく他にも多くの職種が用意されています。
もちろん病院でしか働きたくないという方にとっては関係のない話かもしれません。
しかし、多くの選択肢を知ることによって実は自分に合っているのは病院ではなく違った分野なのかもしれないと、気づくことのできるチャンスかもしれません。
選択肢は多く持っていた方がいいですし、興味のある分野を見つけることができるかもしれませんので是非ご覧ください。
動物病院で働く検査技師
医療の進歩により動物医療用の検査に力を入れている施設が増えています。
現代において犬や猫などはペットとして家族の一員と考える人が増えてきています。
そのため、大手の動物病院などはペットの病気治療のために臨床検査を行っています。
動物医療における臨床検査は、まだまだ発展途上であるため、これからの研究によって今後まだまだ広がっていく可能性があります。
ちなみに私の大学の同級生が動物病院の検査技師として働いているので、いつかその話も記事にできたらいいなと思っています。
動物などのペットの検査に興味のある方は、臨床検査技師の新しい就職先として視野に入れておくのもいいかもしれません。
胚培養士として働く臨床検査技師
主に不妊治療に携わり、体外で精子と卵子を受精させて母体に戻すまでの過程において、胚(受精卵)を扱う専門職です。
なぜ最近注目されている資格であるかというと、やはり女性の晩婚化が進んだ昨今の日本において、不妊治療を必要とする患者数の増加が理由といえるでしょう。
胚培養士の業務の一つである顕微授精と呼ばれる受精操作は、主に顕微鏡を使用して作業を行っていきます。
そのため顕微鏡の扱いに慣れている臨床検査技師が、この分野で活躍していることが多いです。
最近では臨床検査技師としての求人をよく見かけるようになってきているので、「命を誕生させる」という分野に興味のある方は、胚培養士も選択肢の一つにしてみてください。
先輩に何人か胚培養士を目指してる人がいたなぁ。今度会って話してみようかな?
企業や医療メーカーで働く臨床検査技師
臨床検査技師として病院などで働く以外にも、製薬会社や医療機器メーカーに就職するという道もあります。
治験コーディネーターには看護師や薬剤師など様々な職種の人がいますが、検査技師も働いています。
臨床検査技師が得意とする分野は検査値の読み取りですので、薬による検査値の変動を読み取ることで実際の現場で活躍することができるでしょう。
アプリケーションスペシャリストは、医療機関に行き医療機器の製品説明や操作説明をすることが主な仕事内容です。
働いているメーカー商品の強みなどを、検査技師の知識を絡めながら働くことのできる現場です。
企業で働く検査技師には他にも様々な業務内容がありますので、実際に業務内容を確認してみることも大切です。
最後。つまり就職できるの?
「結局今から臨床検査技師目指したら就職できるの?」
「検体検査がメインの職場で働いているのですが、機器の普及によりクビにならないですか?」
様々不安があると思いますが、私の考えでは、今後20〜30年の間に病院の検査室で働く検査技師が必要なくなるなんてことはないと思います。
このまま機械化が進んでも精度管理は必要ですので検査技師がチェックする必要がありますし、しっかりと現場で学んだ検査技師は、検査結果の解釈の際に医師にとって必要である場面もあります。
また、優れた機器が開発されても病院はそれを買うためのコストが必要ですので、赤字の病院では簡単に購入出来るわけではありません。
50年後にどうかと聞かれたらはっきりした答えは言えませんが、20年以内に検査技師が不要になって就職ができないなんてことはないと断言できます。
他にも先ほど話したようにチーム医療の考えが進んでいくことで、私たち検査技師の業務が拡大している病院もあります。
私が高校生だった頃から(10年前くらい)機械化に関する検査技師の需要の低下は問題になっていましたが、実際に私は就職していますし、これから10年後もそれほど大きな変化はないように感じます。
まとめ
検査機器の自動化により、検体検査で働く検査技師の数が低下していることは事実です。
しかし、チーム医療に貢献できる、医師からも信頼されるような技師は現在全ての病院から求められています。
また、少子高齢化、新型コロナウイルスなどなど社会の様々な影響から臨床検査技師の重要性が見直されています。
さらにいうと、臨床検査技師の働く場所は病院だけではありません。
ですので『臨床検査技師の将来性はない』と言っている検査技師がいるというのであれば、その人はろくに勉強もせずにただ検体を機械に測定してもらっている一部の人間なのではないかと思います。
僕はこの記事を全て書いてみても、やはり臨床検査技師の将来性がないと言うのは間違っていると思います。
日々努力してスキルアップの向上を図り、職場の選択肢を広げておくことで、一生活躍することができる臨床検査技師になれるはずです。