こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。
午前(AM) 問61
考えられるのはどれか。
2.巨赤芽球性貧血
3.再生不良性貧血
4.二次性赤血球増加症
5.自己免疫性溶血性貧血
解説
血漿鉄消失時間とは放射性標識鉄(59Fe)を静注し、それらが血漿から消失していくまでの時間のことで、通常半分になるまでの所要時間を計り、PIDT1/2と表記されます。
このPIDT1/2は骨髄での鉄需要、つまり赤血球産生能の指標となります。
図を見てみると患者の血漿鉄消失時間は正常よりも延長していることがわかります。
つまり、鉄が十分にある状況でも造血能がないため、使用されていないということです。
この状況に当てはまる疾患は3.再生不良性貧血です。
再生不良性貧血とは造血幹細胞の減少により汎血球減少を引き起こす病気です。
造血能の低下により、血漿鉄消失時間が延長します。
他の選択肢はいずれも造血能が亢進しているため、血漿鉄消失時間は短縮します。
午前(AM) 問62
2.EDTA加血漿を使用する。
3.多血小板血漿の血小板数を確認する。
4.血小板が凝集すると光透過度が増加する。
5.凝集惹起物質にアデノシン二リン酸(ADP)を用いる。
解説
血小板凝集能測定では多血小板血漿を用いて血小板凝集計で透光度の変化を測定する方法が用いられています。
多血小板血漿をスターラーで撹拌しながら凝集惹起物質を加えると凝集塊が形成され、透光度が次第に増加していきます。この時間的変化を自動的に記録し、凝集能を評価します。
この凝集惹起物質にはADPやエプネフリン、コラーゲン、リストセチンなどを用います。
どの凝集惹起物質を添加したときに凝集能が低下するかも疾患を鑑別する上で重要となります。
1. 空腹時に採血する。
透光度に影響を及ぼすため、脂質混濁血漿(乳び血漿)は用いることができません。
そのため食事前の採血が望ましいとされています。
2. 3.2%クエン酸ナトリウム液を使用する。
凝固の検査はクエン酸ナトリウム液を抗凝固剤として用います。
EDTAよりも弱くカルシウムの凝固作用を抑えることができます。
凝固検査の時のクエン酸ナトリウムと血液の比率は…1:9でしたね。
ここも試験でよく問われるので覚えておきましょう。
3. 多血小板血漿の血小板数を確認する。
多血小板血漿を作成する際に、血小板数を測定して、20万/μLになっていることを確認します。
4. 血小板が凝集すると光透過度が増加する。
凝集塊が形成されると光透過度が高くなることを利用して測定します。
5. 凝集惹起物質にアデノシン二リン酸(ADP)を用いる。
凝集惹起物質の一つにADPがあります。
血小板無力症、骨髄増殖性腫瘍、尿毒症などではコラーゲンやADPによる凝集が低下します。
午前(AM) 問63
2.CD3―T細胞
3.CD13―好中球
4.CD34―造血幹細胞
5.CD61―血小板
解説
CD分類とは白血球など様々な細胞の表面に存在する分子に結合するモノクローナル抗体の国際分類で、「cluster of differentiation」の略です。
表面抗原はフローサイトメトリーなどで応用されているため、覚えておく必要があります。
正常血球に発現する細胞表面マーカー
1 形質細胞はCD38, CD138です。
CD2陽性なのはT細胞です。
したがって1番が誤りといえます。
午前(AM) 問64
2.好中球―drumstick(太鼓のばち)
3.好酸球―ペルオキシダーゼ反応陽性
4.形質細胞―核周囲明庭
5.骨髄芽球―核と細胞質の面積比(N/C比)が高い
解説
1.単球―馬蹄形
単球は細胞形態がしばしば不整形を示す大型細胞で、核が腎臓形、太い馬蹄形など不規則な形態を示すのが特徴です。
細胞質がやや灰色ががった淡い水色を呈し、空胞を持つこともあります。
ちなみに馬蹄形とは馬のひづめに似た形のことです。
2.好中球―drumstick(太鼓のばち)
女性の好中球では分葉核から充実性の丸い小突起が見られることがあります。これはdrumstick(太鼓のばち)とよばれ、女性の不活性化X染色体です。
3.好酸球―ペルオキシダーゼ反応陽性
好酸球や好中球、好塩基球は顆粒球と呼ばれ、これらに共通する顆粒としてアズール顆粒があります。
アズール顆粒はミエロペルオキシダーゼやエステラーゼなどを含むため、好酸球にはペルオキシダーゼ反応があるといえます。
また、好酸球にはアズール顆粒とは別に赤色の特殊顆粒を多数有しています。
この顆粒にはアルカリフォスファターゼなどが含まれています。
4.形質細胞―核周囲明庭
形質細胞には核の周りによく発達したゴルジ装置が見られ、この部分は光学顕微鏡では透明に見えるため核周囲明庭と呼ばれます。
核が車軸状に見られることも特徴の一つです。
5.骨髄芽球―核と細胞質の面積比(N/C比)が高い
骨髄芽球は直径15~20μmほどの細胞で核が大きく、N/C比が高めとなっています。
次の段階である前骨髄球とは、核が中心に位置していることや細胞質に顆粒がないという点で鑑別することができます。
※写真は全て以下の資料を参考
出典:「血液細胞の塗抹像」
www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse3350.pdf
午前(AM) 問65
2.網赤血球数
3.間接ビリルビン
4.ハプトグロビン
5.総鉄結合能(TIBC)
解説
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)とは、赤血球に対する自己抗体(抗赤血球抗体)が産生されることにより、抗体や補体が結合した赤血球が血管外、または補体活性化により血管内で破壊され、貧血を起こす疾患のことです。
1. フェリチン
フェリチンとはアポフェリチンと3価の鉄イオンが結合した水溶性蛋白質のことで、余剰の鉄を細胞で貯蔵する役割があります。
このフェリチンは一定の割合で血中に溶け出し、血清フェリチンとして測定されます。
AIHAでは溶血により、骨髄での造血が盛んになっており、血清フェリチンは消費されていると考えられるので、低値を示します。
2. 網赤血球数
網赤血球とは脱核したばかりの未熟な赤血球のことで、骨髄での造血能を反映します。
溶血によって赤血球数が減少すると代償的に造血が亢進し、骨髄での赤芽球優位過形成と末梢血での網赤血球数が増加します。
3. 間接ビリルビン
溶血した赤血球内に含まれているヘモグロビンはヘムとグロビンに分解され、さらにヘムはビリベルジンと鉄に分解されます。
このビリベルジンが還元されると間接ビリルビンになります。
間接ビリルビンは正常であれば肝細胞に取り込まれ、グルクロン酸抱合を受け、直接ビリルビンとなりますが、AIHAでは溶血が過剰に起こっているため、間接ビリルビンが処理しきれず、高値となります。
また、大量の間接ビリルビンはウロビリノーゲンとなり最終的に尿・便中に排泄されるため、尿中ウロビリン、糞中ステルコビリンが上昇することも合わせて覚えておくと良いでしょう。
4. ハプトグロビン
ハプトグロビンとは赤血球から逸脱したヘモグロビンを肝臓に運ぶ蛋白質です。
AHIAでは大量に溶血するため、ハプトグロビンが消費され、低値となります。
5. 総鉄結合能(TIBC)
TIBCとは全てのトランスフェリンに結合しうる鉄の量を意味します。
鉄欠乏性貧血で増加し、慢性疾患に伴う貧血などで低下します。
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