こんにちは!
病院で働く現役の臨床検査技師『けいた』と申します。
午前(AM) 問76
2.エタンブトール
3.ストレプトマイシン
4.ピラジナミド
5.リファンピシン
解説
多剤耐性結核菌Multi-drug resistance tuberculosis (MDR-TB)って何?
少なくともイソニアジドおよびリファンピシンの両薬剤に対して耐性を示す結核菌のことです。
難治性のため発生防止と感染防止対策が重要です。
さらに強力な耐性菌、超多剤耐性結核菌(XDR-TB)も存在します。
選択肢の抗菌薬は全て結核に用いられる化学療法薬です。しっかり覚えておきましょう!
・イソニアジド(INH;イソニコチン酸ヒドラジド):脂肪酸合成酵素の反応を阻害
・リファンピシン(RFP):細菌のRNAポリメラーゼに直接作用してRNA合成の開始反応を阻害
・ピラジナミド(PZA):細菌が脂肪酸を合成するのに必要とする1型脂肪酸合成酵素の機能を阻害
・ストレプトマイシン(SM):タンパク質合成を阻害
・エタンブトール(EB):細胞壁合成を阻害
午前(AM) 問77
考えられる細菌はどれか。
2.Escherichia coli
3.Klebsiella pneumoniae
4.Proteus vulgaris
5.Shigella sonnei
解説
まずはTSI培地とSIM培地で何がわかるのか、確認しておきましょう。
次に写真を見ていきましょう。
TSI培地の高層部は黄色で気泡があり、斜面部は黄色です。
したがってブドウ糖を嫌気的に分解(発酵)でき、ガスを産生し、乳糖・白糖のどちらかまたは両方を分解できることがわかります。また、硫化水素の産生もありません。
SIM培地は試薬滴下済みですのでIPA反応は分かりませんが、試薬部が赤色に変化しているため、インドール反応陽性です。また少し見えづらいですが、穿刺部のみ発育しているようには見えないため、運動性もあると考えられます。
以上の所見から2 Escherichia coliが最も当てはまりますね。
1 Citrobacter freundii
ガス産生、乳糖・白糖分解、運動性は当てはまりますが、硫化水素産生性であるため高層部が黒くなります。またインドール反応も陰性です。
3 Klebsiella pneumoniae
ガスの産生、ブドウ糖の発酵、乳糖・白糖分解は当てはまりますが、インドール反応陰性のため試薬部は変化しません。また運動性が陰性なのも大きな特徴の一つです。
4 Proteus vulgaris
乳糖・白糖分解、ガス産生、インドール反応、運動性は当てはまりますが、硫化水素産生性であるため、高層部が黒くなります。また、今回の画像では分かりませんでしたがIPA反応が陽性であることも大きな特徴です。
5 Shigella sonnei
ブドウ糖発酵は当てはまりますが、乳糖・白糖非分解であるため、斜面部が赤くなり、ガスも産生しないため気泡は見られません。インドール反応や運動性も陰性です。
S. sonneiはShigella 属菌の中で唯一乳糖遅分解(2日以上培養するとTSI培地の斜面部が赤くなる)という特徴を持つことも覚えておきましょう。
午前(AM) 問78
2.接合によって伝達する。
3.耐性因子の1つである。
4.染色体から独立した遺伝体である。
5.細菌に感染するウイルスの総称である。
解説
プラスミドとは、細胞質内に存在する染色体以外の独立したDNAで、複製も細胞質内で独立して行われます。
ほとんどが二本鎖環状構造をとり、多くの細菌が持っています。
プラスミドには大きく分けて2種類あり、それぞれFプラスミドとRプラスミドと呼ばれます。
Fプラスミドは性決定因子をもち、DNAを移行する接合伝達能があります。
Rプラスミドは薬剤を不活化する遺伝子をもち、薬剤耐性菌の出現の原因となっています。
上記から1〜4の選択肢は全て合っており、5が誤りであることがわかります。
ちなみに5.細菌に感染するウイルスの総称である。はファージを表していると思われます。
ファージは、細菌や古細菌に感染して複製するウイルスで、正式にはバクテリオファージと呼ばれます。
ファージの基本構造は、タンパク質の外殻と遺伝情報を担う核酸 (主に二本鎖DNA) からなります。
午前(AM) 問79
2.赤血球のみに発現している。
3.亜型は後天的な抗原変異である。
4.特異性を決定するのは糖鎖である。
5.新生児の発現量は成人と同じである。
解説
1.O型ではA抗原、B抗原がない。
O型ではH抗原を持つが、A抗原やB抗原はありません。
2.赤血球以外の細胞にも発現している。
3.亜型は先天的な抗原変異である。
5.新生児の発現量は成人と比較して弱い。
オモテ・ウラ試験不一致の原因となります。
午前(AM) 問80
最も考えられるのはどれか。
2.cis AB型
3.後天性B
4.白血病
5.不規則抗体
解説
オモテ検査B型、つまりB抗体試薬と患者血球が反応しています。
一方、ウラ検査でO型ということはA抗原血球とB抗原血球のどちらとも患者血清中の抗体が反応していることがわかります。
そのため、患者血清中の不規則抗体により汎血球凝集が起こったと考えられます。
1.B亜型
赤血球膜上の抗原が通常の抗原量に比べ少ない場合、対応する抗血清との反応が弱くなったり、あるいは反応しない場合があります。このような血液型を総称して亜型と呼んでいます。
日本における亜型はB亜型であるBm型が最も多いです。
この場合、オモテ検査でO型、ウラ検査でB型となります。
2.cis AB型
cis AB型はAB型とO型の親子関係が成りたつ珍しい血液型です。
O型とAB型の両親では普通ではA型かB型の子供が生まれますが、cisAB型ではAB型の子供が生まれます。
オモテ検査ではAB型(B抗原が弱い場合、抗Bでは部分凝集となります)、ウラ検査ではA型(B抗原が弱い場合)を示すことがあります。
3.後天性B
血液疾患などによる獲得性や造血幹細胞移植による人工的変化などにより、後天的に血液型が変化したものを言います。
後天性Bとは消化管疾患での細菌感染児に細菌由来のデアセチラーゼが、赤血球膜上のA抗原決定基であるN―アセチルガラクトサミンに作用してアセチル基を切ることでガラクトサミンとなり、B型の抗原決定基であるガラクトースに類似するため、抗B試薬と反応し、AB型様を示す現象です。
したがってオモテ検査ではAB型、ウラ検査ではA型を示します。
4.白血病
白血病ではA型のA抗原減弱例、B型のB抗原減弱例、AB型のAあるいはB抗原減弱例、AB型のA、B両抗原の減弱例などが報告されています。
いずれの場合も、ウラ検査の結果は変化しないため、O型を示すことはありません。
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